2020年7月11日、F1第2戦シュタイアマルクGPの予選が雨の中で行われ、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がポールポジションを獲得した。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は最終ラップでスピンしてタイム更新ならなかったが、2番手の好位置につけた。

ドライではフェルスタッペン有利という見方も

午前中のフリー走行3回目が豪雨のためキャンセルとなり、その後も降雨の予報だったため、予選開催は難しいと予想されていたが、天候が一時回復。雨の晴れ間をぬって予選が開催されることになった。

それでもまだコース上には水がたっぷりとあり、空は暗く、時折、雨脚が強くなるという難しい状況。各車コースの状態が悪化しないうちにタイムを出すべく連続走行を続け、それにともなってラインが乾きタイムが更新される一方で、急に雨脚が強くなってまたタイムが落ちたりと、予測がつかない状況になっていく。

そんな中、予選Q3はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)の一騎討ちとなっていった。

Q3ではフェルスタッペンがタイムを出すと、すぐにハミルトンがトップを奪い返す展開。予選Q3セッション終盤、ハミルトンは雨脚が強まる中でさらにタイムを更新、それに対してフェルスタッペンも最終アタックで自己ベストを刻んだが、最終コーナーでハーフスピンを喫してしまい逆転はならなかった。

結局、ポールポジションはハミルトンが獲得。フリー走行ではいまひとつ速さが足りなかったハミルトンが王者の底力を見せる形となった。ただ、フェルスタッペンも最後のアタックに失敗しているだけに、その本当の差はわからないところ。日曜日の決勝は天候の回復が予想されているだけに、ドライコンディションのフリー走行で好調な走りを見せたフェルスタッペンに有利という見方もある。

予選3番手は、マクラーレン・ルノーのカルロス・サインツ。レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは7番手、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは8番手、ダニール・クビアトは14番手につけている。また、予選Q2では開幕戦で2位表彰台を獲得したフェラーリのシャルル・ルクレールが11番手でノックアウトしてしまうという波乱も起きた。

画像: ドライではフェルスタッペン有利という見方も

ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは決勝レースに向けて「フリー走行3回目はが激しい雨でキャンセルされ、その後予選前に雨脚が弱まったものの、再度強く降りだすなど、非常に難しいコンデションでの予選となりました。そのような中でレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が2番手を獲得し2戦連続でフロントローからのスタートとなります。チームメイトのアルボン選手、アルファタウリ・ホンダのガスリー選手もQ3に進出し、他車のペナルティにより明日のレースはそれぞれ6番手と7番手からのスタートになります。ドライコンディションが予想されるレースに向けて、いいグリッドポジションだと考えています」とコメント。ドライバーは予選を終えて次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: ドライコンディションのフリー走行2回目ではトップタイムをマークしたフェルスタッペンだったが、予選Q3の最終アタックでスピンしてポールポジション獲得はならなかった。

ドライコンディションのフリー走行2回目ではトップタイムをマークしたフェルスタッペンだったが、予選Q3の最終アタックでスピンしてポールポジション獲得はならなかった。

「難しいコンディションの予選でしたが、2番手という結果には満足しています。予選Q1とQ2はいい走りができていましたが、Q3では雨量が増し、水たまりも多くなりました。オーバーステア気味になり、バランスを取るのが難しかったです。最終ラップはもっといい走りがしたかったです。最終コーナーでスピンしてしまいましたが、それがなくてもルイス(メルセデス)には敵わなかったと思います。明日の決勝はドライになる見込みですし、優勝を目指して走ります。フロントロウからのスタートですし、メルセデスに勝ってより多くのポイントを獲得したいです」

アレクサンダー・アルボン

画像: 予選7番手に終わったアレクサンダー・アルボン。それでも3列目グリッドを獲得した。

予選7番手に終わったアレクサンダー・アルボン。それでも3列目グリッドを獲得した。

「もっといいドライビングができるはずでした。最終ラップは路面の状態がよくなりスピードも出ていたので、ミスがなければ3番手になれたと思います。今週もレースペースは良好なので、決勝ではいい走りをしたいです。どのチームも先週のデータがあるので、明日は戦略をしっかりと練ることが大切です」

ピエール・ガスリー

画像: 予選Q3でトップに迫るタイムを叩き出していたピエール・ガスリー。最後のアタックでのイエロー・フラッグが不運だった。

予選Q3でトップに迫るタイムを叩き出していたピエール・ガスリー。最後のアタックでのイエロー・フラッグが不運だった。

「予選Q3を走ることができ、予選の結果に満足しています。ウエット・コンディションでの走行を楽しみました。タフな予選でしたが、楽しく走れましたし、最大限チャンスを活かしました。最終ラップでイエロー・フラッグが出てしまったのは残念でした。それがなければ0.2から0.3秒速く走れていたはずで、5番手あたりにポジジョンを上げることもできたと思います。でも、ノリス(マクラーレン)にペナルティーが科されているので、明日の決勝は7番手からスタートできることになりました。今日の結果にはとても満足しています。明日は今日とは違うコンディションになりそうですが、またポイントを獲得できるようにがんばります」

ダニール・クビアト

画像: 少しの差で予選Q3に進めなかったダニール・クビアト。予選14番手。

少しの差で予選Q3に進めなかったダニール・クビアト。予選14番手。

「考えていたよりもよくない結果でした。予選Q1までは問題なかったのですが、Q2では何回もスリップしてしまいました。久しぶりのウエットのわりにはしっかり走れましたが、十分ではありませんでした。ベストは尽くしましたが、結果には満足していません。明日の決勝はどんな展開になるか分かりませんが、確実な走りで入賞を目指します」

一方、タイヤを供給するピレリは日曜日の決勝レースについて「12日日曜日は天候が回復しそうですが、先週より気温が低くなるという予報が出ています。71ラップレースの最速の戦略はやはりワンストッパーと予想されますが、先週とは少し異なり、ソフトタイヤの競争力がありそうです。 ですので、理論的に最も速いのはソフトタイヤでスタートし28から33周でハードに交換することです。2番目に速い戦略は、ミディアムタイヤでスタートし30から35周でソフトに切り替えることです。 この戦略は逆にすることもできます。ほぼ同じ速さで、ミディアムタイヤでスタートしハードのに替えるワンストッパーもあるでしょう」と分析。セーフティカーの導入などでベストな選択は変わるが、このあたりがひとつの目安となりそうだ。なお、今回は予選を全車レインタイヤで戦ったので、スタートのタイヤ選択は自由となる。

画像: ピレリが予選終了後にリリースした推奨タイヤ戦略。

ピレリが予選終了後にリリースした推奨タイヤ戦略。

第2戦シュタイアマルクGP(オーストリアGP2)決勝は7月12日15時10分(日本時間22時10分)にスタートする。

2020年F1第2戦シュタイアマルクGP(オーストリアGP2)予選

PP 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:19.273
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:20.489
3位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:20.671
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:20.701
5位 31 E.オコン(ルノー) 1:20.922
6位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:20.925
7位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:21.011
8位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 1:21.028
9位 3 D.リカルド(ルノー) 1:21.192
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:21.651

26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

※4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)は3グリッド降格

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