2007年4月11日、ダッジブランドの日本上陸が正式に発表された。まずは4車種が導入されることが明らかになったが、その中のひとつが「チャージャー」、NASCARでも活躍していたマッスルカーだ。Motor Magazine誌では現地アメリカに赴いて強烈なハイパフォーマンスを味わっている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年8月号より)

現代に甦ったアメリカンマッスルカー

保安基準適合が障害となり、日本市場においてはその導入がギリギリまで調整されていたチャージャーは、現在のダッジを象徴する個性的なセダンだ。かつてのイメージを巧く活かしたスタイリングは本国でも上々の評判で、アメリカの今にすっかり溶け込んでいる。

晴れて日本に導入されることになったグレードは、限定車を除けばもっともハイパフォーマンスなSRT8の1本となる。その価格は同じプラットフォームを用いる300C 5.7HEMIより約25万円高、そして300C SRT8に対しては約75万円も安い651万円に決まった。

チャージャーSRT8のあらかたのスペックは300C SRT8のそれに準拠する。431psを発揮する6.1LのOHVを5速ATでドライブし、0→100mを5秒で加速させるパワートレーンや、シャシ各部のジオメトリー、20インチホイール、ブレンボ4ポッドを擁するブレーキシステムなど、その共通項は多い。導入仕様は左ハンドルのみだが、300C系のプラットフォームは右ハンドルでのオフセット感がやや強いため、積極的にお勧めできるのはこちらの方だ。

エンジンをかけると素のHEMIとは明らかに違う、引き締まったV8サウンドが車内に心地よく響き渡る。300C SRT8に対して、そのサウンドはよりレーシーに仕立てられたようにも思えるが、公式にはチューニングの差異は認められなかった。

大仰なタイヤを纏う割に、チャージャーSRT8の乗り味は実にしなやかだ。低速域ではケース剛性が跳ね返す固めの振動が若干入力するが、速度が上がっての走りの本質的な質感は高い。また、操作系の練り込まれ方もかなりのもので、アクセル、ステアリング入力に対してのリニアリティは絶品だ。この辺りはベースとなったW210系Eクラスのシャシの基本特性も大いに効いているのだろう。

そしてひとたびアクセルを踏み込めば、誰もが思い浮かべるアメリカンV8のサウンドを轟かせ、図太いトルクが車体を一気に弾き飛ばしてくれる。そんな際のロードホールディングも実に懐深いものだ。世界屈指の「極悪」な存在感も含め、ハイパフォーマンスフリークが抱く期待にまったく背かない底力を、ぜひ楽しみにしておいてもらいたい。(文:渡辺敏史/Motor Magazine 2007年8月号より)

画像: クライスラー300Cとは趣きを異にするインテリア。メーターフードとメーター回りのシルバーリングが特徴。

クライスラー300Cとは趣きを異にするインテリア。メーターフードとメーター回りのシルバーリングが特徴。

ヒットの法則

ダッジ チャージャー SRT8主要諸元

●全長×全幅×全高:5082×1891×1466mm
●ホイールベース:3048mm
●車両重量:1887kg
●エンジン:V8OHV
●排気量:6059cc
●最高出力:431ps/6000rpm
●最大トルク:569Nm/4600rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:FR
※北米仕様

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