最後まで7号車と8号車がバトル、5ポイント差で7号車に栄冠
すでに2019-2020年シーズンのマニュファクチャラーズタイトルを決めていたトヨタが、最終戦となる第8戦バーレーン8時間でも1-2フィニッシュを飾り、現行のレギュレーションでの最後のシーズンを締めくくった。
最終戦までもつれていた7号車（小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス）と8号車 （セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー）とのドライバーズタイトル争いは、ポールポジションから263周を走り抜いた7号車の3人のドライバーが獲得。2回連続で不運なトラブルによりル・マン24時間で勝てなかった7号車がチャンピオンを手にした。
ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミと中嶋一貴の2名とブレンドン・ハートレーが組んだ8号車は、首位から64秒差の2位で続き、チームにとっては完璧な結果となった。
この最終戦で現行のレギュレーションによるWECのLMP1時代も終了、トヨタTS050ハイブリッドはその最後のレースを優勝で終えた。
トヨタは2012年より現行のWECに参戦、9年間（8シーズン）で64戦を戦い、29勝と26のポールポジション、24のファステストラップ、そして3回のチームとドライバーのダブルタイトルを獲得。また、2016年にデビューしたTS050ハイブリッドは34戦を戦い、ル・マン3連覇を含むWEC戦19勝と16のポールポジション、15のファステストラップを記録した。
ドライバーズタイルがかかった最終戦バーレーン8時間。7号車と8号車のトヨタTS050ハイブリッド、勝ったほうがチャンピオンという明快な戦いだった。
トヨタの村田久武WECチーム代表は、バーレーン8時間レースを終えて「可夢偉、マイク、そしてホセ、世界チャンピオンおめでとう。耐久レースはチームでの戦いであり、今季のパフォーマンスはチャンピオンにふさわしいものでした。また、新型コロナウイルス感染症で世界的に自粛制限などがある中、大変な努力でシーズンを全うしてくれたWECの主催者、関係の皆様、そして応援し続けてくれたファンの皆様に心より感謝しております。LMP1の時代とTS050ハイブリッドにとって最後のレースは、大変感慨深いものでした。この8シーズンの間、様々な想い出があり、興奮冷めやらぬレースや素晴らしいライバル、そして最高のクルマたちを思い出します。この期間、WECの一員として携われたことに改めて感謝するとともに、新たなハイパーカーの時代もファンの皆様に素晴らしいレースを見せられるよう尽力いたしますので、引き続きご期待ください」とコメント。チャンピオンに輝いたドライバーは次のように語っている。
小林可夢偉（7号車トヨタTS050ハイブリッド）
最終ドライバーを担当した小林可夢偉。最後の1時間ではその差を広げてトップでフィニッシュラインを駆け抜けた。
「日本、そしてドイツのケルン（TGR-Europe拠点）からサポートしてくれたすべての人々に感謝します。振り返れば、2016年からTS050ハイブリッドの開発のためにハードワークを続けてくれました。簡単ではありませんでしたが、今となってはこの最高の車とともに素晴らしい想い出です。チームはル・マン3連覇し、我々は7号車とともに世界チャンピオンを獲得しました。これ以上の結果は望めないでしょう。しかし、これはドライバーだけで成し遂げられた記録ではありません。メカニック、エンジニアやこのプロジェクトに携わった全ての皆さまのおかげです。本当にありがとうございました」
マイク・コンウェイ（7号車トヨタTS050ハイブリッド）
スタートを担当したコンウェイ。トップの座を守ったまま、ロペスに交替。2度目のスティントでも着実に差を広げた。
「タフでしたが素晴らしいシーズンを終え、今日、世界チャンピオンとして立つことができ、最高の気分です。ホセ、可夢偉と私にこのチャンピオン獲得のチャンスを与えてくれたチームに本当に感謝しています。7号車のドライバーおよび8号車のチームメイトはシーズンを通して素晴らしい戦いをし、本当に最高です。これがTS050ハイブリッドの最後のレースになるのは少し悲しいですが、我々にとって有終の美を飾れたと思います」
ホセ・マリア・ロペス（7号車トヨタTS050ハイブリッド）
長いスティントをカバーしたロペス。セーフティカー導入の難しい状況にも対応。
「レースで勝って世界チャンピオンになるというのは本当に格別な気分です。ドイツのケルンや東富士研究所で何年にもわたって最高のクルマを作り上げ、我々を支えてくれたすべてのスタッフに感謝します。信じられないようなシーズンでした。我々は目標を達成するために懸命に努力を続け、可夢偉、マイクとともについに世界チャンピオンを獲得しました。私にとって2人は兄弟のような存在になりました。本当に最高の気分です」
WECは2021年シーズンより新たなハイパーカーの時代に突入、2021年3月19日にアメリカ・セブリング1000マイルレースで開幕することになっている。トヨタはハイパーカー規定に則った新たな車両で2021年シーズンに挑む。
