室内では、先代で好評だったベージュのインテリアを引き継ぎ、明るくクリーンな空間が広がっている。前席のヒップポイントが580mmと高めの設定で、乗降性はもちろん、視界にもストレスがない。CVTモデルにしかシートリフターがないのは不親切だが、大きな一眼メーターは見やすく、フロアタイプのシフトレバーは握りやすい。
室内の広さは、先代と比べ室内高で10mm、前後乗員間距離で15mmとわずかに拡大したが、頭上、足元とも標準体型の女性ならゆとりたっぷり、男性でも十分なスペースだ。収納ではボックスティッシュが収まるグローブボックスや、小物が放り込めるトレイなどが便利。ラゲッジスペースはリアシートをワンアクションで前倒しできるほか、通常の状態でもA型ベビーカーが積めるので、ママと子供のお出かけにもピッタリだ。
CVTモデルで街中から高速までを走ってみると、まず乗り心地が良かった。プラットフォームとサスペンションはワゴンRから譲り受けているが、ガッシリというよりはホンワカとしている。とはいえコーナリングや高速域での不安感がなく、ハンドリングも素直だ。
ブレーキは、踏み始めがフワッと感じるのだが、効き自体はしっかりしている。これは、燃費対策のためにこうしたフィーリングになっているとのことだった。
高速での追い越し加速以外では、とくに力不足や騒音を感じる場面はないし、近頃の軽自動車の中ではいちばん、肩の力を抜いて、リラックスして走れたのが好印象だった。こんなキャラクターもアルトの魅力と言えるはずだ。
■スズキ アルト X 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1535mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:760kg
●エンジン種類:直3 DOHC
●排気量:658cc
●最高出力:40kW<54ps>/6500rpm
●最大トルク:63Nm<6.4kgm>/3500rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:24.5km/L
●タイヤ:145/80R13
●当時の価格(税込み):102万9000円