「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「スズキ アルト」だ。

室内では、先代で好評だったベージュのインテリアを引き継ぎ、明るくクリーンな空間が広がっている。前席のヒップポイントが580mmと高めの設定で、乗降性はもちろん、視界にもストレスがない。CVTモデルにしかシートリフターがないのは不親切だが、大きな一眼メーターは見やすく、フロアタイプのシフトレバーは握りやすい。

室内の広さは、先代と比べ室内高で10mm、前後乗員間距離で15mmとわずかに拡大したが、頭上、足元とも標準体型の女性ならゆとりたっぷり、男性でも十分なスペースだ。収納ではボックスティッシュが収まるグローブボックスや、小物が放り込めるトレイなどが便利。ラゲッジスペースはリアシートをワンアクションで前倒しできるほか、通常の状態でもA型ベビーカーが積めるので、ママと子供のお出かけにもピッタリだ。

CVTモデルで街中から高速までを走ってみると、まず乗り心地が良かった。プラットフォームとサスペンションはワゴンRから譲り受けているが、ガッシリというよりはホンワカとしている。とはいえコーナリングや高速域での不安感がなく、ハンドリングも素直だ。

ブレーキは、踏み始めがフワッと感じるのだが、効き自体はしっかりしている。これは、燃費対策のためにこうしたフィーリングになっているとのことだった。

高速での追い越し加速以外では、とくに力不足や騒音を感じる場面はないし、近頃の軽自動車の中ではいちばん、肩の力を抜いて、リラックスして走れたのが好印象だった。こんなキャラクターもアルトの魅力と言えるはずだ。

画像: 肩の力を抜いてリラックスして走れる、新型アルトはそんなクルマだった。

肩の力を抜いてリラックスして走れる、新型アルトはそんなクルマだった。

■スズキ アルト X 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1535mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:760kg
●エンジン種類:直3 DOHC
●排気量:658cc
●最高出力:40kW<54ps>/6500rpm
●最大トルク:63Nm<6.4kgm>/3500rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:24.5km/L
●タイヤ:145/80R13
●当時の価格(税込み):102万9000円

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