もはやマイナーチェンジとは呼べない規模の改良
梅雨の晴れ間、オープンモデル2台をじっくりと楽しむ幸運に恵まれた。クルマはマイナーチェンジされたメルセデス・ベンツSLとSLK。まずは変更内容から紹介していこう。
SLKはF1マシンのフロント周りを彷彿とさせるエアインテークやリアのディフューザー風スカートなどディテールをブラッシュアップ。インテリアもCOMANDシステム採用の他、ステアリングなど細部の意匠にも若干の手直しが行われた。
見た目よりも大きく変わったのがパワーユニット。SLK200Kは21ps、SLK350は32psの出力向上を受け、後者の7Gトロニックにはブリッピング機能が追加された。さらにステアリングギア比を不等ピッチとすることにより、切り角によって反応の異なるダイレクトステアリングも全車に採用している。
2004年のフルモデルチェンジでスポーツ色をかなり強めたSLKだが、今回のマイナーチェンジでは、その魅力をさらに引き上げることになりそうだ。
SLはさらに大がかりで、もはやマイナーチェンジとは呼べない規模の改良となっている。まず目を惹くのがフロントマスク。円が2つ重なったようなヘッドライトはL型の精悍なコンビランプに改められ、バンパー形状もよりワイド感の強いものとなった。20mm拡幅されたグリルはクロームの一本ルーバーとなったが、これは伝説の300SLがモチーフだそうだ。
さらにボンネット上にあるパワードームや、リアのディフューザー風スカートなど、細かく解説していくと紙幅が足りなくなるほどSLの意匠変更ポイントは多い。
もちろん中身も変わっている。標準モデルで最も大きなニュースはSL350のエンジン改良だ。動弁系のリファインと新型インテークマニホールドの採用、高圧縮比化などにより44psの向上を果たし、7GトロニックにはSLK同様ブリッピング機能も備わった。
そして極めつけのモデルがSL63AMGである。SLにはV12ツインターボの65AMGがあり、今回これも同様のフェイスリフトを受けたのだが、さらにAMGオリジナルの自然吸気、大排気量、高回転をコンセプトとする6.2L V8エンジンが新たに加わった。もっとも、この6.2Lは近年AMGが多機種展開しているパワーユニットだから、SLに搭載されただけでは驚くには値しない。興味深いのは組み合わされるトランスミッションに、従来の7Gトロニックのトルクコンバーターを湿式多板型クラッチに置き換えた自動MTのAMGスピードシフトMCTなるものが搭載されたことだ。