「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、プジョー RCZだ。

イージー&スポーティ派にちょうど良いセッティング

画像: インテリアの基本デザインはベースとなった308と大きく変わらないが、インパネは革張りでステッチ入りだ。

インテリアの基本デザインはベースとなった308と大きく変わらないが、インパネは革張りでステッチ入りだ。

コクピットに乗り込むと、着座位置は実用車を得意としてきたプジョーとは思えないほどに低い。サイドウインドーが小さく包まれ感が強いが、狭苦しさがないのは例のダブルバブルルーフのお陰だろう。インパネの基本デザインも308系と大差ないものの、革張り&ダブルステッチ入りとなかなか豪華だ。右ハンドルでもステアリングやペダルにきちんと正対するドライビングポジションも良い。

室内は2シーターと割り切ったほうがいい。いちおう2名分のリアシートはあるが、背もたれは立っているし、ヘッド&フットスペースも最小。イザというとき2人乗れる保険のようなもので、普段はバッグ置き場と考えるのが無難だ。一方、ラゲッジスペースは長めのリアデッキの恩恵で321Lと意外に大容量だ。トランク側のレバーでリアシートバックを倒せば、639Lにまで拡大できる。

エンジン特性は、フラットトルクだ。低速域からトルクがしっかり出ているのは直噴ターボならではで、6速ATをうまく扱うと2000rpm以下でほとんどのシーンをこなす柔軟性がある。100km/h巡航のエンジン回転数は2100rpmとやや高めながら、高速主体ならオンボードの燃費計は11km/L台をコンスタントに出していた。これなら経済性も問題ないだろう。

オープンロードでアクセルを深く踏み込むと、快音とともに6600rpmのレブリミットを目指す。フラットトルクなので盛り上がり感はないが、厚みのあるトルクは1.6Lとは思えないほどだ。6速ATは低いギアがあまりクロスしておらず、今回の試乗でも2速では回り過ぎ、3速ではパンチ不足を感じることもあった。それでも、イージー&スポーティ派にはちょうどいいところだろう。

フットワークはしなやかだ。235/45R18というタイヤサイズを考えれば、ギャップのアタリもマイルドだ。その分、ステアフィールは少しダイレクト感に欠け、初期ロールもフワリと来るので最初はタイミングがつかみにくかったが、そこそこのペースで流していると、この適度な緩さが心地良くなるだろう。

画像: アクセルを深く踏み込めば、快音とともに6600rpmのレブリミットまで小気味良く吹け上がっていく。

アクセルを深く踏み込めば、快音とともに6600rpmのレブリミットまで小気味良く吹け上がっていく。

■プジョー RCZ(AT) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4290×1845×1360mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW<156ps>/6000rpm
●最大トルク:240Nm<24.4kgm>/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●タイヤ:235/45R18
●当時の価格<税込み>:399万円

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