2021年5月1日土曜日、2021年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)開幕戦スパ・フランコルシャン6時間の決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racingの新型ハイパーカー「トヨタGR010ハイブリッド 8号車」がデビュー戦を勝利で飾った。7号車は3位だった。
簡単ではない戦いを、なんとか凌ぎ切る
新時代の到来を告げるトヨタのハイパーカー「GR010ハイブリッド」のデビューレースは苦しいものだった。
ポールポジションからスタートした7号車は、GTクラスの車両と接触して車両にダメージを負い、さらにコースオフを喫して大きくタイムロス、加えてGTクラス車両との接触の件でペナルティが科されて、優勝争いから脱落。結局、7号車は3位で完走することになる。
一方の8号車も給油時のピット作業レギュレーション違反を犯して30秒間ピットストップペナルティを受けて苦しい展開に。それでもなんとか同じハイパーカークラスのアルピーヌA480ギブソンとの僅差の戦いを制した。
大きなプレッシャーの中で、「打倒トヨタ」を狙うアルピーヌやLMP2車両から激しいアタックを受け、予選ではフロンロウを独占する走りができたものの、最後は2位のアルピーヌの猛追を凌ぎ切っての優勝となった。
TOYOTA GAZOO Racingの村田久武チーム代表は「いくつかの難しい問題に直面しましたが、メカニック、エンジニア、またドライバーたちの大変な努力のおかげで、表彰台の中央で耐久レースの新時代を迎えることができました。今回は、決して順風満帆なレースウィークではありませんでしたが、ただ、改善すべき点を浮き彫りにできたので、しっかり対応をしていきます」とコメントしている。
TOYOTA GAZOO Racing トヨタGR010ハイブリッド 8号車
中嶋一貴(トヨタGR010ハイブリッド 8号車)
「ハイパーカーでの最初のレースで勝てたことを誇りに思います。我々はチームとして決勝レースで本当に良い仕事ができたと感じています。なかなか一筋縄ではいかないレースでしたが、ドライバーとしてやるべきことをこなしました。コース上での追い抜きは非常に難しく、ミスをしやすい状況で、アルピーヌや何台かのLMP2カーといった強力なライバルと戦うのは容易ではありませんでした。そんな中で、ミス無く自分たちの役割を上手くこなすことができ、満足しています。一時はどうなるかと思っていただけに、素晴らしい結果です」
セバスチャン・ブエミ(トヨタGR010ハイブリッド 8号車)
「ハイパーカー時代の最初のレースで勝つことができて最高の気分です。このレースに臨むにあたっての、我々へのプレッシャーは大変なものでした。7号車がポールポジションを獲得し、8号車が勝てたというのは素晴らしいことですし、我々がそれを成し遂げられて本当に嬉しいです。まだスタートは切られたばかりです。やるべきことは沢山あり、すぐにでも戻って作業を始めなければなりません」
ブレンドン・ハートレー(トヨタGR010ハイブリッド 8号車):
「この新たなハイパーカー時代、挑戦なくしてこの結果はありませんでした。ドライバーとしてはとにかくミスを犯さないことを心掛け、周回毎に学ぶことがありました。ダブルスティントの対応やコース上のトラフィック対処といった、昨年までのクルマよりもとても難しくなった課題についても、さらに理解を深めていかなくてはなりません。とはいえ、チャレンジングなレースでしたが、とても楽しめました」
次戦は6月11日から13日、WEC初開催となるポルトガル(ポルティマオ)で行われる。
WEC第1戦スパ・フランコルシャン6時間 決勝結果
優勝 8 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID 162周
2位 36 アルピーヌ・エルフ/アルピーヌ A480-Gibson +1:07.196
3位 7 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID +1周
4位 22 ユナイテッド・オートスポーツ/Oreca 07-Gibson +1周
5位 38 イオタ/Oreca 07-Gibson +2周
6位 28 イオタ/Oreca 07-Gibson +2周