ストレスを感じさせない、日々の暮らしに密着した仕上がり
ホンダによると、先代ライフのユーザーはおよそ70%が女性だったそうだ。その利用シーンは、ショッピングであったり、家族の送り迎え、友人との日帰りドライブなどで、遠出は少なく、街乗りがメイン。また、84%の人が毎日クルマに乗るという。
ライフがよく利用されている街中にはクルマや歩行者が多いだけでなく、駐車場や狭い道などドライバーがストレスを感じる場面が多いことから、ホンダはその対応策を考えた。そして、新しいライフには、そんなストレスを軽減するための工夫を随所に盛り込んでいる。
さて、新型ライフは3つの顔を持っている。まず、エントリーグレードのCタイプとベーシックグレードのGタイプが、標準の顔となる。そして、グリルの左右にクロームメッキをあしらった質感の高い顔を持つPASTEL(パステル)。さらに、横長グリルを配した専用フロントバンパーにフォグランプを装備するスポーティな顔をしたDIVA(ディーバ)をラインアップ。毎日乗るクルマだから、自分の好みにあった顔が選べるのは嬉しい。
さっそく「ライフ パステル」に乗り込み走り出すと、最初に感じられたのが、視界の広さ。先代よりフロントシートの座面が35mm高められたことによる見晴らしの良さもあるのだが、それだけではなかった。従来より細くなったAピラーにより、フロントガラス面積が広げられたことと、ダッシュボードの凹凸がないことで前方視界がとても広くなっている。
さらに、交差点の右左折では、フロントドアウインドウに大きな三角窓を設けたことで死角が少なくなり、歩行者などの視認がしやすい。加えて、ライフでは初となるリアクォーターウインドウが採用されたことにより、左折時の巻き込み確認や左への車線変更も楽になった。
また、ドアウインドウの下端が低いため、クルマの横の視界も広く、ヘッドライト上部のマーカーにより、車幅もつかみやすいので、多少道が狭くなっても安心して走ることができた。
試乗場所は、ライフの利用が多く想定される市街地がメインだったが、視界が広いことでこんなにも運転が楽になるのだと感心させられた。
リアシートの広さにも感心、後席に人を乗せることを想定
ライフの運転が他のクルマよりストレスが少ないのはそれだけではない。駐車時にギアをバックに入れると、2DINのオーディオに設けられた液晶モニターに、テールゲートに取り付けられたカメラからの映像がカラーで映し出されて、駐車をしやすくしてくれるのだ。このバックモニター付きオーディオは、タイプCを除いて標準装着される。
さらに、パステルのFF車のみのオプション設定ではあるが、バック駐車と左側への縦列駐車をサポートしてくれる、Hondaスマートパーキングアシストシステムも用意されている。このシステムは、先代ライフにもオプション設定されていたが、従来の前進時だけでなく後退時も自動操舵とするなど、使い勝手が向上した。これらのシステムは、日々いろいろなショッピングセンターなどへ出かけるユーザーにはありがたいものだ。
リアシートの広さにも感心させられた。身長178cmのドライバーに合わせた運転席の後ろに座っても、ひざ前にはこぶしひとつ以上のスペースがある。アコード並の厚みを持たせたというシートは座り心地もいい。しかもリクライニングもするので快適そのものだ。実は、日常生活で必要な広さは確保しながらラゲッジスペースを多少狭めることで、リアシートの広さを実現したそうだ。友人や家族など、後席に人を乗せることを優先した結果だという。
その後、「ライフ ディーバ ターボ」に乗り換えたが、確かに加速の面でNAよりも力強さが感じられた。しかし、街乗りメインということを考えると、NAでも十分という印象を受けた。ちなみに、パステルとディーバのみターボが選択できる。
新型ライフは、ストレスなく運転できること、4人が快適に座れること、買い物に必要な分のラゲッジスペースを確保することなど、まさに生活(Life)に密着した仕上がりだった。(文:Motor Magazine編集部/写真:森山俊一)
ホンダ ライフ パステル ノンターボ FF 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1610mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:820kg
●エンジン:直3SOHC
●排気量:658cc
●最高出力:38kW(52ps)/7100rpm
●最大トルク:60Nm/3600rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:21.0km/L
●車両価格(税込):114万4500円(2008年当時)