「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、NISMO(ニスモ)が手がけた日産 エルグランド NISMO Sチューンだ。

日産 エルグランド NISMO Sチューン(2010年:チューンドモデル)

画像: ノーマルよりフロントを20mm、リアを15mmローダウンしているが、実車を見るとそれ以上に低められているように感じる。

ノーマルよりフロントを20mm、リアを15mmローダウンしているが、実車を見るとそれ以上に低められているように感じる。

「キング・オブ・ミニバン」と自ら名乗るエルグランドが、その世界をより確固たるものにするべく登場したのが、この「NISMO Sチューン」だ。基本のパーツは、ホイール、サスペンション、ブレーキパッドからなるが、今回の試乗車はオプションのフロントプロテクターなどのエアロパーツも装着していた。

サスペンションキットによって、フロントは20mm、リアは15mmローダウンしている。だが実際には、それ以上に低められているように感じられるほど、見た目の安定感は増している。これは、ブラックアウトされたホイールの効果もあるのだろう。ノーマルのエルグランドも先代に比べると車高はかなり低くなったのだが、このニスモ Sチューン仕様を見てしまうと、ノーマルのフォルムが腰高に思えてしまう。

この感覚は、走ってみてもすぐに感じられるものだった。今回試乗したのは、主に横浜近辺の首都高速道路。コーナーが続く横羽線から、横風をモロに受ける湾岸エリアなど、背の高いミニバンにとってはけっこうつらい状況。だが、ニスモ Sチューンは、その悪条件をものともせず、安定感にあふれた高速巡航を楽しませてくれた。

まず感じられたのは、ロール角の少なさだ。ノーマルでは比較的緩やかなコーナーでの動きはまずまずだが、半径がきつく旋回時間が長くなるループ状のコーナーではロール角が大きくなり、ステアリングの操舵角も増える傾向にある。この揺らぎがドライバーに不安感を与えてしまう。

しかしニスモ Sチューンでは、そんな不安を感じることはない。ドライバーとクルマの一体感が味わえる。試乗車はノーマルと同じタイヤを装着していたが、こんなにスポーティな感覚が得られたのは驚きだ。

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