2008年、並はずれたパフォーマンスと燃費性能を誇るアルピナ D3がニコル・オートモビルズによって試験的に輸入された。日本でクリーンディーゼルが注目を集め始める中、いち早く、ニコル・オートモビルズは日本導入に動き出していた。ここでは緊急輸入されたアルピナD3ビターボ クーペに試乗した時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年2月号より)

爆発的な加速ではないがスムーズでさりげなく速い

D3ビターボクーペに乗り込む。アルピナブルーのタコメーターは、4800rpmからゼブラ、5000rpmからレッドに塗られていた。5000rpmというのはディーゼルエンジンとしては異例の高回転型である。スピードメーターはなんと310km/hまで刻まれている。

クラッチペダルとブレーキペダルを同時に踏み込みスタートボタンを押すと、ブンッと低い排気音が聞こえてエンジンがかかる。そのままシフトレバーを1速に入れ、右足はブレーキペダルをリリースし、クラッチペダルをゆっくり戻してくるとD3ビターボは簡単に動き出す。まだアクセルペダルを踏んでいない。

これを4速までできた。つまり一度もアクセルペダルを踏まなくても40km/h以上のスピードが出せる。これはD3ビターボのエンジンが持つ桁違いに太いトルクのおかげだ。

アクセルペダルを踏み込んでいくと実にスムーズに加速していく。2000rpmに満たないエンジン回転数でシフトアップしても、十分に速い加速ができる。2500rpmまで踏むともっと速くなり、3000rpmでシフトアップすれば、バックレストに押さえつけられるほどの加速感になる。

クルマが軽く感じられるような走り味で、ディーゼルの素晴らしさが味わえる。通常のディーゼルエンジンは高回転型といっても4500rpmほどしか回らないが、これは5200rpmまできっちり回る。

さすがにB3のようなアクセルペダルを踏み始めた瞬間から蹴飛ばされるような加速はないが、スムーズドライビングをしながらもさりげなく速く走るには最高のクルマだ。D3ビターボを運転しているとインテリジェンスのようなものさえ感じる。

それは自動アイドルストップがうまく働くせいでもある。ニュートラルにしてクラッチペダルを戻して5km/h以下という条件が揃うと自動的にエンジンが止まる。そしてクラッチペダルを踏み込むと素早くエンジンがかかるから、ギアを1速に入れてクラッチペダルをスムーズに戻せば、いとも簡単に走り出す。アイドリングの時には、ほんの少しディーゼルノイズを感じるが、それも不快なものではなく、自動アイドリングストップにより逆に静かになる。

太いトルクと自動アイドリングストップにより、MTなのに渋滞中でもまったく苦にならなかった。また走行距離176kmのうち、1時間も渋滞に巻き込まれたのにオンボードコンピューターが示す平均燃費は13.8km/Lと優秀だった。燃料満タン時に航続可能距離が1000kmを超えていたのに気づいた。D3ビターボなら毎日乗っていても飽きそうにない。(文:こもだきよし/写真:森山俊一)

画像: 試乗モデルはクーペだったが、すでにドイツ本国ではリムジン、ツーリングも用意されている。

試乗モデルはクーペだったが、すでにドイツ本国ではリムジン、ツーリングも用意されている。

BMW アルピナD3 ビターボ クーペ主要諸元

●全長×全幅×全高:4580×1782×1395mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1480kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルツインターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:157kW(214ps)/4100rpm
●最大トルク:450Nm/2000-2500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:18.5km/L
●燃料・タンク容量:軽油・61L
●0→100km/h加速:6.9秒
●最高速度:244km/h
※欧州仕様

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