2021年5月20日、F1第5戦モナコGPがモンテカルロの市街地サーキットで開幕する。2020年は新型コロナウイルス感染拡大のためキャンセルとなり、2年ぶりの開催となる。レッドブルが得意とするグランプリではあるが、今年はどんなレースとなるのだろうか。

ドライバーにとっても、マシンにとっても難しいコース

モナコGPは、ほかのグランプリとは違う特別なレース。週初めから関係者が集まり始め、木曜日にフリー走行を開始、街にグランプリの開幕が告げられると、金曜日に走行は行われず、街中でさまざまなイベントが開催される。そして土曜日に予選、日曜日に決勝となる。金曜日からスケジュールが始まりレースが進行していく通常のグランプリとは雰囲気もまるっきり異なる。

モナコGPでは、まずそのコース設定が大きなカギとなる。モンテカルロの市街地を閉鎖して作られるため、通常のサーキットよりもはるかにグリップが小さく、非常に滑りやすい。しかも、道幅が狭く、少しでもミスをすればコンクリートウォールの餌食になる難コースでもある。昨今安全性が重要視されているが、ここには十分なセーフティゾーンなどない。

また、長いストレートがないのでタイヤ温度を比較的コントロールしやすいのも特徴で、道幅が狭く追い越しが難しいため予選順位が重要となるが、タイムを削るためにはアクセルペダルを踏み込まねばならず、ミスはすべてを台無しにしてしまう。

画像: モンテカルロ市街地に設けられたコースは1周約70秒間、決勝は78周で行われる。ドライバーは集中力をもって、壁に触れるギリギリのところを攻め続けることになる。

モンテカルロ市街地に設けられたコースは1周約70秒間、決勝は78周で行われる。ドライバーは集中力をもって、壁に触れるギリギリのところを攻め続けることになる。

マシンから見ると、平均速度が130km/hと低いもののパワーユニットは低速コーナーからのドライバビリディが求められ、シャシにはメカニカルグリップとエアロダイナミクスの総合力が求められる。エンジン、空力、シャシ、すべてが揃わないと好タイムを出せないコースだ。

レースでのポイントはタイヤ交換。抜きどころがなく、タイヤにそれほど厳しくないのでワンストップが基本となるが、セーフティカー導入の確率が高く、そのタイミング次第でいろいろな戦略が出てくる。チームにとっては天気やレース展開の把握も重要となる。

前回2019年のモナコGPでは、タイヤ戦略で優位に立ったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが終盤にメルセデスのルイス・ハミルトンを追い詰めたが、モナコの市街地コースではオーバーテイクできず。さらにピットストップでのアクシデントが5秒加算ペナルティと判断されて表彰台も逃した。それでもピエール・ガスリーが5位、トロロッソ・ホンダ(現アルファタウリ・ホンダ)の2台も積極的な作戦で7位、8位を獲得。ホンダ勢4台全車がトップ10内でフィニッシュしている。

【参考】2019年F1第6戦モナコGP決勝

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)78周
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+2.602s
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+3.162s
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+5.537s
5位 10 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ)+9.946s
6位 55 C.サインツJr.(マクラーレン・ルノー)+53.454s
7位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+54.574s
8位 23 A.アルボン(トロロッソ・ホンダ)+55.200s
9位 3 D.リカルド(ルノー)+60.894s
10位 8 R.グロージャン(ハース・フェラーリ)+61.034s

伝統的にモナコGPは低速セクションを得意とするレッドブルに有利なグランプリだが、なぜかフェルスタッペンは優勝どころか、表彰台に上がったこともない。さて2021年はどんなレースとなるのか。第5戦モナコGPは5月20日11時30分(日本時間18時30分)から始まるフリー走行で開幕する。

2021年F1第5戦モナコGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:5月20日11時30分~12時30分(日本時間18時30分~19時30分)
フリー走行2回目:5月20日15時~16時(日本時間22時~23時)
フリー走行3回目:5月22日12時~13時(日本時間19時~20時)
予選:5月22日15時~16時(日本時間22時~23時)
決勝:5月23日15時~(日本時間22時~)

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