新コンセプトの「アエロフラップ」は早くも発展を見せている
イタリア発のホイールブランドOZが、2021年1月、創業50周年を迎えた。この間、OZはレース&ラリーで数え切れぬタイトルを手にし、ウイニングホイールの名を冠するに至る。そこで得たノウハウは市販品にも活かされ、デザインや構造に革新をもたらして来た。
そんなOZが次なるステージを目指した画期的なモデル、「スーパーツーリズモ アエロ HLT」をリリースした。デザインはスーパーツーリズモならではの15本マルチスポークで、センターロック風に仕立てられたブラックのセントラルロックカバーが付く(外してオープンタイプとすることも可能)。縦断面で強度を確保した細身のスポークはリムエンドまできっちり伸ばされ、OZらしさを主張している。ちなみにスーパーツーリズモシリーズとしては、第4世代にあたる。
驚きは、スポークの内側、リムからわずかに離れた箇所に周回するリングが備わることだ。これは「アエロフラップシステム」と呼ばれる世界初のホイール用空力パーツで、クルマの空力特性を効果的に引き出し、かつブレーキのクーリング性能も向上させる。そう、ホイールがエアロパーツの機能も兼ねているのだ。イタリア語読みで「アエロ」(英語ではエアロ)を名乗るゆえんがここにある。OZはこの技術で、世界特許を取得した。
アエロフラップの発想は、F1用ホイールに始まる。2013年からレッドブルのホイールにこのシステムが採用されているのだ。OZはF1のみならず、インディ、フォーミュラE、WRCなどの幅広いジャンルでデータ収集を行ってきた。レース用のアエロフラップはマグネシウム鍛造ホイールと一体構造だが、市販にあたっては軽量の樹脂製パーツを内側から固定する方法を採っている。
さらにこのアエロフラップは今後、デザイン的な広がりが予見されている。たとえば近々発売される予定なのが、「スーパーツーリズモ アエロ-e」だ。こちらはセンターもアエロキャップとし、マルチスポークの内側をスリットを入れながらフルにカバーしている。BEV専用モデルとしてデザインされており、表面のディンプル加工などによって未来感を醸し出す。ラインアップには19、 20インチが用意されるという。
OZの若者向けスポーツブランド、スパルコのニューモデル「レコード」も見逃せない。デザインはまるで手裏剣のような直線基調のダブル5本スポーク。そのスポークは彫りを多用して立体感を演出し、かつリムエンドまでしっかり伸ばすこと(左右に小さな凹みを設けていて芸が細かい)でひと回り大きく見せている。サイズは17、18、19インチと身近で、カラーも渋めのグロスブラックとマットグラファイトを用意する。スポーツハッチ系を中心に人気となりそうだ。
他にスーパーツーリズモ エヴォルツィオーネにホワイト仕様が追加されるなど、2021年もOZは話題が尽きない。(文:河原良雄/写真:永元秀和)