2021年5月23日に行われたF1第5戦モナコGP決勝、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅はどんな走りを見せたのか。コメントとともに、決勝レースを振り返ってみよう。

スタートであえてハードタイヤを選択する積極的な作戦に

16番グリッドスタートとなった角田裕毅は、トップ10のドライバーがソフトタイヤでレースをスタートしたのに対して、あえてハードタイヤを選択。できるだけ周回数を伸ばして、セーフティカーの導入やアクシデントに柔軟な対応ができる戦略を採った。

ただし温まりが遅いハードタイヤでは、スタート直後のバトルにおいて有利と言えず、序盤は我慢を強いられることになる。

角田はハードタイヤを労りながら64周走行した後、ソフトタイヤに履き替えて好ラップタイムをマーク。ルイス・ハミルトン(メルセデス)に直後に塗り替えられたものの、セカンドベストとなるファステストラップを記録している。

残念ながらレース展開で計算に入れていたセーフティカーの導入はなく、フリー走行2回目のミスが予選でのQ1突破失敗につながり、決勝で結果を出すことはできなかった。しかし、それでも決勝ではミスなく難コースを攻めながら16位で完走したことは評価されるところだ。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

「16番手からのスタートで、簡単にいかないのは分かっていました。1周目は周りのマシンと比べてグリップに苦しみ、いくつか順位を落としてしまいました。その後はいいペースがあったものの、前のマシンをオーバーテイクすることはできませんでした。僕の一番の課題は予選のパフォーマンスをどうやって上げていくかです。ポイント獲得を果たせるように、次のレースへ向けて懸命に取り組んでいきます」

画像: ペースは悪くなかったが、モナコではオーバーテイクは難しかった。予選と同じ16位でフィニッシュ。

ペースは悪くなかったが、モナコではオーバーテイクは難しかった。予選と同じ16位でフィニッシュ。

一方、角田のチームメイト、ピエール・ガスリーは素晴らしい走りを見せた。ルイス・ハミルトン(メルセデス)のひとつ前、6番グリッドからスタートしたガスリーは、レース序盤、ハミルトンの動きをマークしながら5番手をキープして周回。ハミルトンのアンダーカットの動きにも素早く対応して、1周後の30周目にピットに入り、再びハミルトンの前でコースに復帰した。

その後、セバスチャン・ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)に先行されたものの、最後までハミルトンを抑え込んで、レッドブル・ホンダをフォローするとともに、チームの期待に応える6位でフィニッシュしている。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

「とても長いレースでした。ルイス(ハミルトン)を従えて戦うのは簡単ではありませんでした。一つもミスは許されず、自分のレースに集中しなければなりませんでしたが、大いに楽しみました。6位で終えるというのはいいことで、結果は喜ぶべきものですし、シーズンここまでのベストパフォーマンスになったと思います。最初のスティントではマシンの感触がとてもよかったのですが、ハードタイヤに交換してからは苦しみました。何度かルイスに脅かされる場面がありましたが、それでも前をキープできて満足しています。ルイスのピットストップに対応して入りましたが、その作戦はあまりうまくいきませんでした。セブ(セバスチャン・ヴェッテル)とわずかな差で並んで丘を駆け上がりましたが、彼がその位置にいることに驚きましたし、指一本分の隙間しかなかったかもしれません。でも、素晴らしいバトルでした。今日のマシンパフォーマンスはよかったのですが、もっと上を目指せるはずです」

画像: ハミルトンを抑え込んでの価値ある6位に入ったピエール・ガスリー。

ハミルトンを抑え込んでの価値ある6位に入ったピエール・ガスリー。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、アルファタウリ・ホンダのふたりについて「角田選手はスタートでハードタイヤを選択し60周以上もマネージするなど、この難しいサーキットを完走することで、多くのことを得てくれたと思います。レース中、前が開いたところでかなりいいラップタイムを刻むなど速さも見せてくれましたが、全体としては予選ポジションが影響し、我慢のレースだったと思います。ガスリー選手は最初から最後までハミルトン選手を抑え込む走りで6位と、こちらもいいレースを見せてくれました。次戦も期待できそうです」とコメントしている。

画像: スタートでハードタイヤを選択したのは、角田裕毅とランス・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)だけだった。

スタートでハードタイヤを選択したのは、角田裕毅とランス・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)だけだった。

次戦、F1第6戦 アゼルバイジャンGP(6月4〜6日)も市街地サーキットで行われるが、モナコとはかなり性格の異なるコースとなる。

2021年F1第5戦モナコGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)78周 
2位 55 C.サインツ(フェラーリ)+8.968s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+19.427s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+20.490s
5位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+52.591s
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+53.896s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+68.231s
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+1周
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 99 A.ジョビナッティ(アルファロメオ・フェラーリ)+1周
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16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) +1周

2021年F1ドライバーズランキング(第5戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 105
2位 L.ハミルトン(メルセデス) 101
3位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス) 56
4位 V.ボッタス(メルセデス) 47
5位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)44
6位 C.ルクレール(フェラーリ) 40
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9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)16
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) 2

2021年コンストラクターズランキング(第5戦終了時)

1位 レッドブル・ホンダ 149
2位 メルセデス 148
3位 マクラーレン・メルセデス 80
4位 フェラーリ 78
5位 アストンマーティン・メルセデス 19
6位 アルファタウリ・ホンダ 18

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