2021年6月25日、F1第8戦シュタイアマルクGPがオーストリア・レッドブルリンクで開幕する。F1グランプリは第8戦、第9戦とレッドブルリンクで連戦となるが、現在3連勝中のレッドブル・ホンダにとって、本拠地でのグランプリ2連戦はメルセデスを突き放す絶好のチャンスとなるのだろうか。なお、2週連続して同じサーキット(コースレイアウトも同じ)で開催されるため、今週は第8戦シュタイアマルクGP、次週は第9戦オーストリアGP(オステルライヒGP)の名称で行われる(2020年も同じように2連戦で開催されたが順番は逆だった)。

平均230km/hの高速コース、標高が高く酸素濃度が低いのもポイント

レッドブルリンクは、かつてエステルライヒリンク、A1リンクと呼ばれたサーキットで、2004年にレッドブルがオーナーとなり全面改修、2011年に現在の名称でオープンした(運営会社の名前からシュピールバーグ・サーキットと呼ばれることもある)。オーストリアの緑あふれるのどかな丘の中にあるコースは、滑らかな路面と大きなアップダウンを特徴としている。

山間部にあるため起伏に富み、ここではエンジンパワーが重要なファクターとなる。全長は4318mと短く、コーナーは10箇所しかないが、ターン2・5・8をエンジン全開で駆け抜けるため、実質的なコーナー数はわずか7カ所となる。しかも、低速コーナーはターン3とターン4のみで、エンジン全開率は66%、平均速度は230km/hといずれも高いのだ。

コースは1コーナーから3コーナーまで急な上りが続き、その後はホームストレートまでダウンヒルとなる。最大のオーバーテイクポイントは3コーナーで、上り坂のストレートからのブレーキングがカギを握る。また、森の中を駆け抜けた後の9コーナー、逆バンク気味の最終コーナーもトリッキーで勝負どころとなる。コース距離こそ短いが、高低差は69mもあり、1周をうまくまとめるのは難しいと言われる。

標高が高く酸素濃度が低いのもポイントで、マシンにとっては、エアロダイナミクス、冷却、過給効率が大きな課題となる。ブレーキングゾーンが少ないため運動エネルギー回生(MGU-K)は小さく、むしろ熱エネルギー回生(MGU-H)やターボ効率が重要となる。

タイヤ戦略は、摩耗や劣化が比較的低小さいためワンストップとなることが多いが、不安定になることが多い天候は気になるところだ。また、タイヤにとっては、大部分のコーナーは右ターンだが、最もタイヤに厳しい2つのコーナーが左ターンというところはポイントとなる。

画像: F1第8戦シュタイアマルクGPが行われるオーストリア・レッドブルリンク(シュピールバーグ・サーキット)のコース図。実質的なコーナーはわずか7つ。エンジン全開率66%という高速コース。

F1第8戦シュタイアマルクGPが行われるオーストリア・レッドブルリンク(シュピールバーグ・サーキット)のコース図。実質的なコーナーはわずか7つ。エンジン全開率66%という高速コース。

2020年はメルセデスが連勝したが、伝統的にレッドブルが得意とするコース

レッドブルのホームコースということもあって、伝統的にレッドブル・ホンダが得意としているサーキットだが、2020年のオーストリアGP→シュタイアマルクGPではメルセデスが連勝した。(ちなみに2018年、2019年はマックス・フェルスタッペンが優勝している)

2020年のオーストリアGP(オーストリアGP1)は、セーフティカーが3回も出るなどアクシデントが続出する中、ポールスタートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は2位でフィニッシュしたもののペナルティで降格、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は電気系トラブルでリタイアしていた。

続くシュタイアマルクGP(オーストリアGP2)では、ハミルトンが圧倒的な速さで完勝。2位にボッタスが入り、メルセデスが1-2フィニッシュを飾った。フェルスタッペンは早めのタイヤ交換で抵抗したが、これが裏目に出て2位の座を失っている。

画像: 伝統的にレッドブル・ホンダが得意とするコースだが、昨年はここでメルセデスが連勝した。

伝統的にレッドブル・ホンダが得意とするコースだが、昨年はここでメルセデスが連勝した。

【参考】2020年F1第1戦オーストリアGP結果

優勝 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 71周
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +2.700s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+5.491s
4位44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+5.689s
5位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+8.903s
6位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+15.092s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+16.682s
8位 31 E.オコン(ルノー)+17.456s
9位 99 A.ジョビナッツィ(アルファロメオ・フェラーリ)+21.146s
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+24.545s
・・・・・・・・・
リタイア 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
リタイア23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

画像: 2020年F1第1戦オーストリアGPのタイヤ戦略。

2020年F1第1戦オーストリアGPのタイヤ戦略。

【参考】2020年F1第2戦シュタイアマルクGP(オーストリアGP2)結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)71周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) +13.719s
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +33.698s
4位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +44.400s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+61.470s
6位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+62.387s
7位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス) +62.453s
8位 3 D.リカルド(ルノー)+62.591s
9位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) +1周
10位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) +1周
・・・・・・・・・・
15位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +1周

画像: 2020年F1第2戦シュタイアマルクGPのタイヤ戦略。

2020年F1第2戦シュタイアマルクGPのタイヤ戦略。

タイヤを供給するピレリは「連戦となる2つのグランプリで異なるタイヤを供給します。シュタイアマルクGPとして行われる最初のレースには、C2、C3、C4の真ん中の3種類、1週間後に同じトラックで開催されるオーストリアGPにはC3、C4、C5のソフトな組み合わせを供給します。 異なるタイヤコンパウンドを供給することで、戦略的なバリエーションが生まれ、2つのレースは異なった展開になるでしょう。昨年もオーストリアで連続してグランプリを開催しているので、チームはこのトラックに関する豊富なデータと、2週連続して行われることの課題と戦術をよく知っています。しかし、レッドブルリンクで2つの異なるタイヤが供給されるのは初めてなので、チームがタイヤをどう使うのか興味深いところです」と分析している。

レッドブル・ホンダが3連勝でシリーズをリードする状況で迎えるレッドブルの本拠地での2連戦。レッドブル・ホンダがチャンピオンに向けて加速するのか、それとも王者メルセデスが巻き返すのか。第8戦シュタイアマルクGPは6月25日11時30分(日本時間18時30分)から始まるフリー走行で開幕する。

2021年F1第8戦シュタイアマルクGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:6月25日11時30分〜12時30分(日本時間18時30分〜19時30分)
フリー走行2回目:6月25日15時〜16時(日本時間22時〜23時)
フリー走行3回目:6月26日12時〜13時(日本時間19時〜20時)
予選:6月26日15時〜16時(日本時間22時〜23時)
決勝:6月27日15時〜(日本時間22時〜)

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