フェアレディZの存在価値を高める最終進化
Z32の変遷をまとめておくと、1989年の登場時が第1期（前期）、1993年の一部改良からが第2期（中期）、そして1998年のマイナーチェンジから2000年の生産終了までが第3期（後期）となる。中でも、大きな変化を遂げたのが後期型だ。
まずエスクテリアデザインの大胆な変更が注目された。具体的には躍動感のある開口部を持つフロントバンパー、ボディ形状との一体感を高めたリアウイング、スポーティかつ安定感のあるフォルムを実現するサイドシルプロテクター（バージョンRに標準装備）や、新設定のブライトポリッシュアルミホイールが挙げられる。
小変更ではあるが、よりスタイリッシュになったリアビュー。新色のライトニングイエローも鮮やかだ。
ボディカラーもスポーティなライトニングイエローとソニックシルバーの2色を新設定し計6色となった。インテリアに関しても、シートクロス及びトリムクロスの変更をはじめ、高い品質感を持つものとしている。
走りに関する機能では、ヘッドランプがそれまでハロゲンだったのが、ここからプロジェクター式のキセノンヘッドランプとなった。自然光に近く、より明るく遠くを照らせるとともに、フロントドアガラスに雨をはじくロングライフ撥水ガラスを採用してドライバーに安心感を与えるものとなった。
スポーティなドライビングフィールを獲得するために、とくに車体剛性のアップに力点を置いたのも特筆される。目指したものは、「操舵に対する車両挙動のリニアリティの向上、及びステアリング剛性感の向上」だ。
バージョンSツインターボ2シーター。オーディオレス、マニュアルエアコンでリーズナブルな価格を実現した。
具体的には、フロアパネル板厚アップ、フロントクロスメンバー、及びセカンドクロスメンバーの板厚をアップすることで、走行時のしっかりとした剛性感を確保している。とくに2by2では、ステアリングメンバーブラケットやステアリングメンバーサポートステーを追加することで、ステアリング系の剛性感を向上させた。
バージョンRはリファインされた大型フロアトンネルメンバーと、ドアロック上部にドアと車体の結合を強化するドアダブテールを追加し、走行性能を向上させている。さらに専用スポーツチューンドサスペンションを採用したのも注目点だ。
ブレーキ系も後期型ではアップデートされている。ブレーキマスターシリンダーサイズ、倍力装置特性、ブレーキパッド材質変更まで行い、ペダル踏力の軽減など、より洗練されたブレーキフィールを実現した。
一貫して日産らしいスポーツカーとして評価の高かったZ32だが、経営危機などもあり後継車を作る間もなく2000年に生産中止となる。その後Z33の登場まで2年を待つことになった。
フラッグシップである300ZXツインターボは2by2のみに残る。バージョンS、Rの登場で若干陰が薄くなったのも事実。
日産 フェアレディZ バージョンR ツインターボ 2by2 主要諸元
●全長×全幅×全高：4520×1800×1255mm
●ホイールベース：2570mm
●車両重量：1560（1580）kg
●エンジン：V6 DOHC＋ツインターボ
●排気量：2960cc
●最高出力：280ps／6400rpm
●最大トルク：39.6kgm／3600rpm
●トランスミッション：5速MT（4速AT）
●駆動方式：FR
●10モード燃費：8.2（7.5）km／L
●車両価格（税込）：439万8000円（451万8000円）
※1998年10月時点での仕様／カッコ内はAT仕様
日産 フェアレディZ バージョンS ツインターボ 2シーター 主要諸元
●全長×全幅×全高：4305×1790×1245mm
●ホイールベース：2450mm
●車両重量：1520kg
●エンジン：V6 DOHC＋ツインターボ
●排気量：2960cc
●最高出力：280ps／6400rpm
●最大トルク：39.6kgm／3600rpm
●トランスミッション：5速MT
●駆動方式：FR
●10モード燃費：8.2km／L
●車両価格（税込）：399万円
※1998年10月時点での仕様
