新型コロナウイルスの感染拡大の中、苦渋の決断
ホンダ最後の母国グランプリとして、また7年ぶりの日本人ドライバーである角田裕毅の凱旋レースとして期待されていたF1日本GPの開催中止が正式に発表された。
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本国内での感染者数が増加傾向にあり開催が危ぶまれていたが、「F1グランプリを開催するために設定された期日までに、F1海外関係者の日本入国が確実な状況に至らなかったために、やむなく開催中止の決断に至った」。
鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドは、その発表の中で「フォーミュラ1とともにF1日本グランプリ開催に向けて、昨年末より、海外関係者入国受入に伴う、防疫対策・輸送計画・査証申請などの準備を進めてまいりました。この準備は、大きなチャレンジであり、特別な今年のF1日本グランプリを開催するために、膨大な時間をかけて取り組んでまいりました。この準備にあたっては、スポーツ庁などの関係省庁、三重県、鈴鹿市、国立病院機構三重病院、そして日本自動車連盟をはじめ、駐日英国大使館、管轄区域保健所、中部国際空港、関西国際空港、三重県立総合医療センター、鈴鹿中央総合病院、三重大学医学部附属病院、そして近隣ホテル等の協力企業の皆様に、多大なるご尽力を賜り、感謝申し上げます」と記しており、苦渋の決断であったことがよくわかる。
また、モビリティランドの田中薫代表取締役社長は「非常に苦しく、悔しく、残念な決断となりました。2年ぶりのF1日本グランプリ開催を目指して準備を進めておりましたが、やむなく中止の決断をいたしました。7年ぶりの日本人ドライバーである角田裕毅選手の凱旋や、ホンダF1最後の雄姿をご覧いただきたいという強い思いを持って、開催に向けて膨大な準備に取り組んでまいりました。これまでの取り組みにご理解とご協力をいただきましたスポーツ庁、三重県、鈴鹿市そしてフォーミュラ1をはじめとするすべてのみなさまに厚く御礼申し上げます。2年連続でF1日本グランプリ開催中止という、極めて悔しい決断となりましたが、我々はこの瞬間より来年のF1日本グランプリ開催に向けてスタートいたします」とコメントしている。なお、鈴鹿サーキットは2024年までF1日本GPの開催契約を締結している。
本田技研工業のブランド・コミュニケーション渡辺康治本部長もコメントを発表。「昨年に続いてF1日本グランプリが中止になってしまいました。 Honda F1にとっては最後のホーム鈴鹿で戦う姿を、楽しみにされていたファンの皆さまにお見せできなくなってしまったことを本当に無念に感じています。しかしながら、F1の2021年シーズンはこれから佳境を迎えていきます。Honda F1の集大成となる今年の目標であるタイトル獲得に向けて最後まで全力で戦い抜きますので、応援よろしくお願いいたします」と語っている。ホンダは今シーズンをもってF1活動を休止するため、最後の母国グランプリとなるはずのこのレースのタイトルスポンサーとなっていた。
一方、フォーミュラ1も同時刻(欧州では8月18日朝)に声明を発表し、「日本のプロモーターおよび当局と協議を重ねてきた結果、日本のパンデミックの複雑な状況により、今シーズンのレースを中止するとの決定が日本政府により下された」と明らかにしている。また、F1のシーズン後半は、8月27日のベルギーGPでスタートするが、最初の3連戦(ベルギー、オランダ、イタリア)と次のロシアGP、シンガポールGPの代替として行われるトルコGPまでは予定どおり開催される見込みとなっている。ただし、それ以降の開催は不透明で「今後数週間のうちに発表する予定」という。