X7 西陣エディションのコンセプトは「光と色彩のうつろい」
コロナ禍においても、BMWのプレミアムセグメント(7シリーズ/8シリーズ/X7)の販売は好調で、2020年比で20%増を達成しているという。BMWジャパンでは「BMWの日本の名匠プロジェクト」と題し、日本が誇る匠の技と、BMWが誇るBMWインディビデュアルに込めたドイツのクラフトマンシップ技術の融合による、世界で唯一無二のラグジュアリー感を実現する特別限定車を開発している。
その第1弾として2020年9月に「8シリーズ グランクーペ 京都エディション」を、第2弾として「7シリーズ ピュアメタルエディション」を12月に発表。今回の「X7 西陣エディション」は第3弾にあたる。
この限定車は、3Lの直6ディーゼルターボを搭載する「X7 xドライブ40d ピュアエクセレンス」をベースに、ボディカラーにBMWインディビデュアルカラーの「アメトリン」を使用。アルミフレークやマイカを用いて、アメトリン(アメジストとシトリンが混ざりあった天然の水晶)のように光の角度などによって紫色から黄色など複雑かつ美しい輝きを放つ。
インテリアには、そのモデル名のとおり西陣織の技術が織り込まれたセンターアームレストやインテリアトリムを採用する。
西陣織を製作する工程には、和紙に施す箔を直接装飾し、金銀箔や顔料を表面に塗ってはつぶす加飾工程を5回も繰り返して色彩に深みを出す「五色金重ね」というものがある。これをインテリアトリムに直接装飾することでラグジュアリーな空間を演出しているという。
またフロントセンターアームレストには、箔装飾したメリノレザーを細かく裁断し、それを絹の経糸(たていと)とともに織り込む西陣の引箔技法を用いるという、他に類を見ない技術力と芸術性の高い室内装飾に挑戦。さらに卿雲(けいうん/太平の世に現れるという、美しくめでたい雲)をイメージした白い立体模様の織を加えて、西陣織加装飾の存在感を維持し、優雅な雰囲気を高めている。
なお今回展示されていた車両には、五色金重ねを施した和紙を約0.4mmに裁断して引箔技法で織り上げた西陣織をルーフライニングにまで採用されていたが、これは難燃素材の問題などもあり、コンセプトを先鋭化して表現するための参考出品だとしている。実際に販売される車両はBMWインディビデュアルのアルカンターラ ルーフライナーとなる。
世界に3台だけのBMW X7 西陣エディション、車両価格(税込)は1680万円となっている。ベース車両よりは430万円高いが、装備の内容や匠の技の解説を聞くと(買える買えないは別にして)「この価格では安いのではないか」と思わされてしまう。