ドライバーとライダーのオアシス『クマゲラ』へ
瓜時(かじ)の月。日盛り。
愛車、T4ウェスティにて国道241号を行く。
阿寒湖を過ぎ、標高1499メートルの主峰、ポンマチネシリから連なる雌阿寒岳(めあかんだけ)の傾斜を下ると、畜産業と農業の街、足寄町である。
牧歌的な情景を楽しみつつも、気はそぞろである。実は朝からなにも食べていないのだ。
「ク〜ッ! 腹減ったよ〜!」
独り言を漏らしつつ国道を行くと、前方に赤い屋根の大きなログハウスが現れ、立派な単板木材に書かれた『クマゲラ』という看板にいざなわれて停車。
「いらっしゃい・・・。どこからですか?」
ログハウスの前でくつろいでおられたのか、ご主人が優しく気遣ってお店に案内してくださった。
「中標津からですけど、川崎からなんです・・・」
ややこしい答えを返したボクに、ご主人は頬を緩めつつ
「いいねぇ、キャンパーですか? 私らも時間が出来たら、日本中ゆっくりと回ろうと思ってるんですよ」
と奥様ともども受け答えして下さり、お水とメニューを運んでくれた。
ビーフカレーにハンバーグカレー、山菜ピラフに山菜そばなど、どれも旨そうなお品書きであったが、大のカレー好きなボクとしては、迷わずビーフカレーを注文。
待ち時間はこれっぽっちも退屈しない。なにしろそのウッディな内装が凄いのである。
広大な店内の装飾は、どこを眺めてもさながら木像やウッドカービング、チェンソーアートのようで、重厚な一枚板のテーブルに様々な造形の椅子、優しい光が溢れるランプシェードなどが所狭しと並ぶその様は、まるで美術館か、はたまた絵本に出てくるおとぎの国のようである・・・。
このような素晴らしき世界感を持ったご主人と奥様の造られたカレーには、至極期待が持てる! 心の中で勝手な解釈を進めつつ、ワクワクしてそれを待つ。