パワーアップだけでなく、軽快なレスポンスと滑らかな出力特性が特徴
RUF社は、1939年に整備工場としてドイツのファッフェンハウゼンで創業し、ドイツ初のフルサイズ観光バスを自社生産したのち、356や911のスペシャリストとして名声を獲得。ドイツ連邦自動車局から認可を受けた自動車メーカーへと発展した。
1970年代後半から911のホワイトボディを基に独自のハイエンドスポーツカーを生産している。1992年には電子制御マニュアル変速システム「EKS」、2008年にはEVスポーツカーの「eRUF」なども開発し、現在はすべてのコンポーネントを自社開発・生産して、先端技術を追求したハイエンドスポーツカーを製作している。
また、1970年代後半からポルシェ車両向けのアフターマーケットパーツやエンジンコンバージョンキットも展開しており、今回紹介するキットもそのひとつである。
991型の911カレラ/911GTS(後期モデル)用に「Rc91」シリーズを、991型911ターボ/911ターボS用に「R91」シリーズを、992型911カレラS用に「Rc92」シリーズを、そして992型911ターボ/911ターボS用に「R92」シリーズを用意する。
このキットの導入により、R91では最高出力745ps/最大トルク995Nmを獲得するのだが、この数字はベース車と比較して225ps/285Nmも向上している。また、R92においては830ps/930Nmを実現し、これは250ps/180Nmのアップとなる。
だが、このキットの目的はピーク値の向上ではない。軽快なレスポンスと滑らかな出力特性でドライバーの意思に忠実なエンジンへと生まれ変わらせることだという。ボトムエンドから立ち上がる太いトルクと、レブリミットまで緩みなく伸び続ける出力曲線が特徴だ。ストレスフリーな走行性能と高耐久性は、アウトバーンでの高速巡航から日本の過酷な渋滞路まで、シチュエーションを選ばない。また、キット導入前の車両と同等間隔での定期メンテナンスで維持が可能だ。
RUFコンバージョンキットは、メーカーであるRUF社が厳しい品質基準を設けて製作するものだ。その設計には、「Rt35」や「RtR」などのRUFコンプリートカーの開発で培った技術が用いられているという。
こうしたコンプリートカー用エンジンの製作と同様に、コンバージョンキットの開発から完成までにベンチテストや実走行テスト、そしてフィードバックを反復し、RUF社の理想とするパフォーマンスと耐久性を獲得したパッケージのみが製品化される。
キットの構成は、吸気系の刷新とECUの最適化によるライトパッケージから、排気系やターボチャージャーおよびインタークーラーを刷新するものまで、さまざまなラインアップを展開している。R91においては、電子制御面でECUに加えて、PDKを制御するGCUにも最適化が施されている。
日本ではキットの導入は、インポーターであるRTCにて選任メカニックが担当する。キットの価格は、それぞれ160万円(税込)からとなる。