複筒式ショックアブソーバーは内筒と外筒の二重構造となっている
ショックアブソーバーの外観は筒型の本体からピストンロッドが出た形となっている。本体内部は基本的にオイルで満たされており、ピストンロッドとピストンが動くときに抵抗を与えて、スプリングに対する減衰力を発生させる。
ショックアブソーバーは複筒式と単筒式に大きく分けられ、ここでは標準型とも呼ばれファミリーカーからスポーツカーまで広いジャンルのクルマに使われている「複筒式ショックアブソーバー」の構造を解説する。
ちなみに複筒式と呼ばれる理由は、オイルを満たされた本体を囲むようにリザーバー室を設けられ、内筒と外筒の二重構造になっているからだ。本体の中にピストンロッドとつながったピストンがあり、オイルを通り抜けさせるオリフィスやベースバルブを設けられている。
ピストンロッドが伸びようとすると、ピストン上室のオイルがピストンを通り抜けて下へ移動しようとする。このときのオイルが細い通路を通ろうとするときに発生する抵抗力を、伸び側の減衰力としているのだ。ピストンスピードによって求められる減衰力が変わってくるので、ここはリーフバルブなどでコントロールすることになる。
このようにピストンが上がると、ピストン下室のオイルが不足することになるが、そのとき内筒の外側を覆ったリザーバー室のオイルがベースバルブから流入することでカバーする。
逆にピストンロッドが縮もうとすると、今度はピストン下室のオイルがピストン上室に流れ込む。このときピストン下室のオイルは、ほとんど抵抗なくピストン上室に流れ込む。ただし、下室が加圧されてベースバルブが開き、ここで縮み側の減衰力を発生する。そして、伸びる時とは逆にオイルがリザーバー室に流れ込むという仕組みとなっている。
リザーバー室にはオイルだけでなく大気圧の空気が入れられ、縮むときには圧縮、伸びるときには膨張することによって体積を調整している。
オイルが通り抜けるバルブは、円盤状の薄板を複数枚重ねる構造となっていて、薄板を硬くすれば減衰力は上がる方向となり、柔らかくすれば下がる方向となる。このあたりは、スプリングの硬さや用途によって調整する部分で、足回りの性能の鍵になる部分でもある。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)