クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでMotor Magazine誌で掲載した長期レポート車ボルボV60 B4モメンタムを紹介していこう。第1回目にも書いたが、「新車の輸入車」を初体験している真っ最中の私が、V60 B4モメンタムに乗り始めて早2カ月。現在の走行距離に至るまで1000km、3000kmと少しずつ変化していく乗り味を楽しんでいる。(Motor Magazine 2021年6月号より)

まるでクルマが成長しているかのような変化

走行距離58kmで納車を受けた当日、新車に乗れることが嬉しくて会社から自宅まで最短距離で帰宅する気になれず、およそ100kmという大オーバーランをしながらミッドナイトドライブ、という計画で駐車場を出た。

深夜だったこともあり、まわりを走行するクルマも少なく高速道路、一般道と順調に設定したルートをクリアしていくのだが、噂で聞いた「新車の乗り味の硬さ」をどうも感じない。225/50R17という偏平率が高めなタイヤを装着していることも快適性を高めている要素のひとつかもしれない。

気になった点を挙げれば、高速走行時にシート座面とハンドルから伝わってくる微振動で、アスファルト表面凹凸のひとつひとつを伝えているかのような印象を受けた。不快と思うほどではないが、走行を重ねて真っ先に現れた変化もここだった。まず、シート表面の形状が体にフィットするように変化していくと同時に振動も薄れ、1000kmを超えた頃にはハンドルの振動もキレイさっぱり消えていたのだ。幻だったのか、と思うほどのあっけなさである。

画像: オプション装着の本革シート。その表面は私の体型にフィットするよう、変化してきた気がする。

オプション装着の本革シート。その表面は私の体型にフィットするよう、変化してきた気がする。

その後も、 3000kmあたりになると高速道路の継ぎ目を越えたときに発生する音が、「ゴッ」という高い音域だったものから、角の取れた「ドゥ」という低音で聞こえるように。さらにコーナリングにおけるロール感もフラットライドなものから、ゆったりと沈み込むようになるなど、よりコンフォートな方向へ進化していくように感じている。

まるでクルマが成長しているかのような、こうした変化を感じれば誰かに話したくなるもので「ボディの剛性感とゆったり感がボルボの特性なんですね」なんて知ったかぶりをしていたら、日本一ボルボに詳しいと自負する編集長に「まだまだだね君は。ここからだよ本番は」と、まさに一蹴されてしまった。

要は、この先多くの変化が待ち受けていることを示唆しているのだが、それは走行距離を重ねた時に報告していこうと思う。

もし新車購入の検討をする時にボルボのディーラーで試乗する機会があったら、ひとつ試して欲しいことは、試乗車の走行距離チェックだ。きっと違う視点で試乗を楽しめるはずだ。(文:Motor Magazine編集部 蔭山洋平)

■第2回/2021年3月17日〜4月16日(2カ月目)のデータ
・オドメーター:5235km
・走行距離:2906km
・給油量:189.32L
・実燃費:15.3km/L

ボルボ V60 B4モメンタム 主要諸元

●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4800-5400rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4200rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):499万円

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