最終周の劇的逆転劇、フェルスタッペン初戴冠
フェルスタッペンのせっかくのポールポジションは、ハミルトンの完璧なスタートにしてやられた。挽回を期したターン6でのアタックも、うまくいかなかった。
第2スティント、チームメイトの懸命なブロックで差を詰めてチャンスが訪れたかに見えたが、やはりペースではメルセデスに叶わない。レース中盤に出たバーチャルセーフティカーでピットに飛び込んでフレッシュなタイヤで追い上げを図るも、首位ハミルトンも履歴の古いタイヤでハイペースを維持してなかなか差は縮まらなかった。
もはや打つ手なし。22戦の長いシーズンを戦ってきたフェルスタッペンのタイトル獲得の夢は潰えたかに思えた。
だが残り8周、奇跡が起きた。
ウイリアムズ・メルセデスのニコラス・ラティフィがウォールにクラッシュし、セーフティカーが出たのだ。首位のポジションをキープするため動けなかったメルセデスに対し、レッドブルは迷うことなくフェルスタッペンをピットに呼び戻し、ソフトタイヤを装着。2番手のままコースに送り出す。ペースの遅いセーフティカー走行中にフェルスタッペンはハミルトンの背後に迫り、レースが再開されたのはなんと残り1周だった。
乾坤一擲のチャンスを掴んだフェルスタッペンは、ソフトタイヤを利してハミルトンに襲いかかり、ターン5でズバリとインを突いて首位を奪うことに成功。そのまま抑え込んでフィニッシュに飛び込んだ。
最終ラップの大逆転で優勝し、世界チャンピオンとなったフェルスタッペンは「信じられない。最後にチャンスが巡ってきた。なんと言っていいかわからないけど、運が向いたんだ。子供の頃からF1ドライバーになることが目標で、表彰台に立って、今、チャンピオンになったと言われても信じられない。ルイスは手強かったけど、奇跡が起きた」と感無量のコメント。
一方、土壇場で8回目のタイトルを失ったハミルトンはしばらくマシンから降りることができなかったが、「とにかく全力を出した。チームを誇りに思う。マックスおめでとう」と最後はライバルを称えた。
最終戦最終ラップの逆転で世界チャンピオンを決めたフェルスタッペン。コンストラクターズタイトルは逃したものの、F1ラストイヤーとなるホンダにとっても記念すべきレースとなった。
フェルスタッペンはドライバーズポイント同点で迎えた最終戦で優勝。文句のないチャンピオンとなった。
アブダビGP決勝のタイヤ戦略。フェルスタッペンは3度もタイヤを交換。できることやりきった攻めたレースだった。
2021年F1第22戦最終戦アブダビGP決勝 結果
1位 33 M.フェルスタッペン（レッドブル・ホンダ）58周
2位 44 L.ハミルトン（メルセデス）＋2.256s
3位 55 C.サインツ（フェラーリ）＋5.173s
4位 22 角田裕毅（アルファタウリ・ホンダ）＋5.692s
5位 10 P.ガスリー（アルファタウリ・ホンダ）＋6.531s
6位 77 V.ボッタス（メルセデス）＋7.463s
7位 4 L.ノリス（マクラーレン・メル セデス）＋59.200s
8位14 F.アロンソ（アルピーヌ・ルノー）＋61.708s
9位31 E.オコン（アルピーヌ・ルノー）＋64.026s
10位 16 C.ルクレール（ フェラーリ）＋66.057s
・・・・・・・・・・・・・
リタイア 11 S.ペレス（レッドブル・ホンダ）
2021年F1ドライバーズランキング最終結果
1位 M.フェルスタッペン（レッドブル・ホンダ）395.5
2位 L.ハミルトン（メルセデス）387.5
3位 V.ボッタス（メルセデス）226
4位 S.ペレス（レッドブル・ホンダ）190
5位 C.サインツ（フェラーリ）164.5
6位 L.ノリス（マクラーレン・メルセデス）160
7位 C.ルクレール（フェラーリ）159
8位 D.リカルド（マクラーレン・メルセデス）115
9位 P.ガスリー （アルファタウリ・ホンダ）110
10位F.アロンソ（アルピーヌ・ルノー）81
・・・・・・・・・
14位 角田裕毅（アルファタウリ・ホンダ）32
2021年コンストラクターズランキング最終結果
1位 メルセデス 613.5
2位 レッドブル・ホンダ 585.5
3位 フェラーリ 323.5
4位 マクラーレン・メルセデス 275
5位 アルピーヌ・ルノー 155
6位 アルファタウリ・ホンダ 142
