長距離も苦にならない乗り心地の良さ
誠に残念なことだが、8カ月にわたって共に過ごしてきたV60 B4とお別れの時が来てしまった。新車の状態でスタートしてからわずかな期間で2万km近くを走行したこのペースは、数ある過去の長期テスト車の中でもかなり早かったのではなかろうか。
取材の多い月に3400kmをこなしたこともあるのだが、これだけ活躍したのは長距離移動を苦にしない乗り心地の良さと、高速走行時の低燃費性能、そして使い勝手の良いラゲッジスペースなどを持っていたからだろう。
とくに、取材・撮影するにあたって精密機器であるデジタルカメラや光学レンズ、三脚などの撮影機材を満載する同伴車両として出動要請を受けることが多かった。比較的偏平率の高い225/50R17タイヤを履くV60 B4の低振動性と積載性能の高さは、カメラマンたちから絶大の信頼と人気を得ていたように思う。
と、これまで乗ってきて欠点らしい欠点が正直見当たらない。あえて挙げるとすれば、オプション装着されていた本革シートは濃色系の茶色のため、夏場に熱くなりやすく、またベンチレーション機能を持っていないので蒸れやすかったということくらいか。
ただ、これも自宅駐車スペースの環境や好みにもよるので欠点と言い切れない。むしろ、長く付き合うことを考えると本革シートの耐久性の高さは大きな魅力となり、また少し硬めだった感触は乗れば乗るほどにマイルドになるから愛着も湧いてくるというものだ。当然かもしれないが、テスト期間中にヤレ感は皆無だった。
エアコン常時稼働でもやっぱり低燃費を実現
ちなみに、以前から気になっていた街中での走行燃費を9月に計ってみた。計測した3日間は、日中の最高気温30度を記録した日もあり、24度に設定したフルオートエアコンを常時稼働させていた。そんな悪条件の中で、一般道だけを220km走行。結果、消費燃料は19.3L、燃費は11.4km/Lを記録した。エコモードを選択しているいるとはいえ、やっぱり低燃費だ。信号待ちから発進をする時、足をブレーキペダルから離すと微かに感じるモーター駆動、48Vマイルドハイブリッドの威力を思い知った3日間だった。(文:Motor Magazine編集部 蔭山洋平)
■第8回/2021年9月22日〜10月7日(8カ月目)のデータ
・オドメーター:1万9591km
・走行距離:1245km
・給油量:76.9L
・実燃費:16.2km/L
ボルボ V60 B4モメンタム 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4800-5400rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4200rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):499万円