ホンダが新型ステップワゴンを初公開。「エアー」と「スパーダ」の2本立てで2022年春に発売予定

グランドコンセプトは「＃素敵な暮らし」

ステップワゴンは、ホンダのミドルクラス ミニバンだ。初代は1996年に発表され、今回のモデルは6代目にあたる。新型ステップワゴンのグランドコンセプトは「＃素敵な暮らし」。家族のためにしてあげたいことや自分のためにしたいことなど、さまざまな目的に応えることで、使う人に「素敵な暮らし」を提供できる存在となることを目指して開発された。メインターゲットは、初代ステップワゴンが誕生したころに5歳くらい、つまりミニバンに慣れ親しんだ世代（ミニバンネイティブ）である30〜45歳くらいの、子育て世代としている。

エクステリアは、初代や2代目のステップワゴンをオマージュした、シンプルでクリーンなデザイン。スタイリングから安心感が感じられるように、乗員の居心地や視界とのバランスが取れた高さを調整し、従来型よりもベルトラインを上げて、ボディの分厚さを表現する。フロントピラーの付け根は従来型より70mm後退し、フロントウインドーを立てることで「かたまり感」も強調している。

従来型までの標準系グレードは名称を「STEP WGN AIR（ステップワゴン エアー、以下エアー）」とし、カスタム系は従来型と同様「STEP WGN SPADA（ステップワゴン スパーダ、以下スパーダ）」の2タイプとなった。ボディサイズをはじめとするスペックは公表されていないが、従来型とほぼ変わらない5ナンバーサイズ同等になると思われる。

エアーはクリーンでシンプルなデザインとし、細いメッキモールで上質感を表現。一方のスパーダはリアに向けて伸びやかな流れをイメージできる造形としながら、ワイドかつ重厚なフロントグリルと、ボディ下端全周にダーククロムメッキモールを配して、より力強く品格ある佇まいを表現している。スパーダはエアーより前後のオーバーハングが各20mm長く、バンパー下端も10mm下げられている。

インテリアは家族のための大空間を進化させ、自宅のような居心地の良さと自由さを目指している。エアーは温かみのある色を用いた明るい室内でリビングルームのような安心感を、スパーダはスタイリッシュな印象を与えるダークトーンの色で上質な室内空間に仕上げている。

さらに、水平基調でノイズレスなデザインにより、乗る人の視野を安定させ、乗り物酔いをしにくいクルマを目指している。シート表皮には全タイプ共通で、撥水撥油加工を施し掃除がしやすい素材「ファブテクト」を新採用した。

また、2列目シートにセパレートのキャプテンシートを選択でき、その場合前後へのロングスライドだけでなく左右にもスライドできる構造としている。前後は外側で610mm、内側で865mm、中寄せは右側シートが75mm、左側シートが115mmスライド可能なので、左側シートに赤ちゃんを乗せて、いちばん前の内側にセットすれば、運転席のお母さんが席を離れずにあやすこともできる。2列目をいちばん後ろに下げてシートバックを倒せばゆったりと寛げるし、また手前にスライドすれば3列目への乗り降りもしやすい。

3列目シートは着座位置を高くし、前方のシート形状を工夫することで、開放的な視界を実現している。シートクッションの厚みも増して、快適な座り心地を提供している。また3列目シートは従来型までと同様に床下収納としているので、3列目を収納したときのラゲッジスペースは跳ね上げ式を採用しているライバルよりも広く、また使い勝手も高い。

なお、従来型に採用されていた「わくわくゲート」は、「使いやすさを訴求できず、想定していたような使い方がほとんどされなかったので、重量増などを考えて今回は採用を見合わせた」（新型ステップワゴン開発責任者の蟻坂篤史氏）という。

パワートレーンは未発表だが、従来型と同じ、2L 直4＋モーターのハイブリッド「e：HEV」と、1.5L VTECターボになると予想されている。今回、公開されたスパーダのリアには「e：HEV」のエンブレムが付いていた。

ステップワゴンの最大のライバルである、トヨタ ノア／ヴォクシーも間もなくフルモデルチェンジを迎える予定だ。ホンダとしては、その前に新型ステップワゴンのデザインを見せることで、オーナー予備軍へアピールしたものと思われる。もうひとつのライバル、日産 セレナも2022年秋ごろにフルモデルチェンジが噂されているし、2022年のミドルクラス ミニバン市場は、熱い戦いが繰り広げられることになるだろう。

ホンダ 新型ステップワゴン14