世界では18番目、日本では初となる「ポルシェスタジオ」
2017年6月に初のポルシェスタジオがドイツのジルト島で開設されて以来、これまでに世界で17のポルシェスタジオが設置されており、「ポルシェスタジオ日本橋」は日本で初めて、世界では18番目の常設店舗となる。
この施設は、永代通りと昭和通りの交差点に面し、また日本橋駅に直結しており、都心ならではのアクセスの良さを持つ。銀座線や東西線の電車に乗り、数分歩くだけで便利・気軽にポルシェに触れることができる。
店内は最上級の大型ディスプレイを採用しつつ、日本の伝統的な組子細工がちりばめられた日本ならではといえる空間。デジタルと伝統の融合させることでポルシェの世界観を表現しているという。また、店内にはファッションやアクセサリー、インテリアのコレクション「ポルシェライフスタイル」も多数用意され、ポルシェと共に過ごすライフスタイルを提案する。
既存のポルシェスタジオのデータによると、ディーラーに比べ人の出入りが非常に多く、その客層の平均年齢はかなり低い。また、はじめてポルシェを買う顧客率が高いという。一方最終的に売り上げにつながるのはディーラーの方が高く、リピーター率も高い。
ポルシェスタジオは新規の顧客を獲得し、ディーラーにつなぐことが目的になるだろう。初めての接点は重要で、その経験が気軽にできるのが今回のポルシェスタジオというわけだ。また、既存のポルシェスタジオは音楽や芸術、文学を語り合う場、展示ギャラリーの役割も担っており、コミュニティーの場として活用しているという。
イベントに出席したポルシェジャパン社長であるミヒャエル・キルシュ氏は、「東京のような都心部ではみなさんお忙しく、時間がない。時間の余裕が最大のラグジュアリーである今、我々は何をすべきなのかと考えました」と語り、その答えが都市型コンセプトストア「ポルシェスタジオ日本橋」だという。
日本初導入の「ポルシェスタジオ日本橋」の運営は、ポルシェ ホールディングGmbHの日本法人であるPAIG Japan Automobile Investment合同会社が設立した、Exclusive Cars Japan合同会社によって行われる。代表執行役CEOの鈴木聡大氏はポルシェスタジオの立地について「五街道の起点である日本橋は江戸時代からあらゆるヒト・モノ・コトが日本全国から集まり、それらの交流によって新たな産業や文化が生まれ続けてきたイノベーティブな町。日本橋はこれまでもこれからも世界中の老若男女が集まるホットスポットであることが、都市型コンセプトストアであるポルシェスタジオがここにできた理由」と語った。
時代に合わせた販売、そして変わらないポルシェの販売哲学
日本では新しいコンセプトで、これまでとは違ったかたちのサービスになるポルシェスタジオだが、ポルシェは変わっていないとキルシュ氏は言う。
「私たちにはブレない軸があります。それはお客様にHappyになっていただくこと。変わったのはお客様であり、お客様のわたしたちに対する期待値が変わりました。私の祖父の時代はクルマを買うときにスーツを着てディーラーに行きましたが、今の若い人は違う。家のソファに居ながらクルマを見ます、主に時間といった制約があるからです。75年の歴史の中で我々の販売の哲学が変わったのではなく、変わりゆくお客様に合わせて私たちのメソットを変えました」
ポルシェスタジオ日本橋は販売店(ディーラー)としての機能も持っているそうだが、サービスやアフターサービスがどう変わっていくかという問いに対しては、「サービスの機能自体が対話型になっていきます。クルマの電動化が進むと壊れてから店舗に行くのではなく、『そろそろ部品を交換したほうがいいですよ』とクルマから言ってくれます。しかし、最後はクルマを持っていかなければいけないわけですから、便利なアクセスのいい場所にあるということです。壊れたら郊外に持っていかなければいけませんが、現在は時間がなく面倒なことは極力避けたいという思考がありますので、そちらにも応えています。ポルシェは常にカスタマーファーストを考え、お客様が何を求めているのか、どうしたら今のお客様が満足できるのかを考え、それに合わせて、プロセスを変更します。従来のやり方がなくなるわけではありません」と語った。
2022年の夏に銀座エリアに向けて日本で2店舗目となる「ポルシェスタジオ銀座」の設置計画が進められており、今後もポルシェスタジオの日本国内展開を検討している。まずはこの「ポルシェスタジオ日本橋」がベンチマークになりそうだ。