難コンディションの中「大外刈り」を決めた松下が自身初優勝!
日曜日に行われた決勝は生憎のウエットレースに。全車レインタイヤを装着し、タイヤ交換義務はなし。スタートは通常どおりスタンディングスタートで行われた。
レースはポールポジションの野尻がホールショット。2位には山下が続き、6番手スタートの牧野が一気に3番手まで浮上した。大方の予想どおり野尻が順調にトップで周回する中、後方で松下と大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が大幅にポジションをアップしている。水飛沫により視界を確保できない悪コンディションの中、4周目のスプーン2つ目でジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が単独スピン。無事レースに復帰するが最後尾まで落ちてしまった。
7周目、2番手を走る山下のペースが一気に落ち、3番手の牧野が接近。逆バンクからダンロップコーナーにかけて牧野が山下を捉え2位に浮上。後方では予選で苦戦した平川がオーバーテイクショーを見せる。9周目には福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)と宮田をパス、さらに山下や坪井のピットインもあり8位まで順位を回復。平川の決勝での強さが発揮された。
レース半分を過ぎたあたりから、3番手に上がった松下が2位牧野との距離を縮めていく。さらに2位集団がトップの野尻との距離も詰めていく展開に。残り5周、ついに牧野を捉えた松下はシケインの飛び込みで牧野をパスし2位に浮上。そこから一気にペースを上げ29周目には野尻と松下の差は1秒4に。水が残っている箇所を走り、必死に消耗したウエットタイヤを保たせながら攻める松下は残り2周となったホームストレートで野尻に並びかけ、豪快に1コーナーアウトからオーバーテイクしトップに浮上。最終的に松下は2位以下に5秒差をつけ、悲願のスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。2位には野尻が入りしっかりランキングトップをキープ、3位には今季初表彰台獲得の牧野が入った。
松下のウイニングオーバーテイクは1980年代、全日本F2選手権で星野一義やジェフ・リースといった錚々たるメンツから優勝を奪った、アウトから豪快に抜き去っていく中嶋悟の「大外刈り」を彷彿とさせた。消耗したタイヤで変化する路面状況の中、ものの見事にやってのけた松下。グリップのないタイヤで激しい戦いが繰り広げられるヨーロッパのカテゴリーを戦ってきた松下らしい見事なオーバーテイクだった。3戦が終わり3名のウイナーが誕生した2022年のスーパーフォーミュラ。今回のレース結果が今後どのような作用をもたらすのだろうか。(写真提供:JRP)
2022年 スーパーフォーミュラ第3戦 決勝結果(上位10名)
1位 50 松下信治(B-Max Racing Team)31周
2位 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)+5.053s
3位 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) +8.113s
4位 4 S.フェネストラズ(KONDO RACING) +18.419s
5位 7 小林可夢偉(KCMG) +21.894s
6位 18 国本雄資(KCMG) +44.604s
7位 20 平川亮(carenex TEAM IMPUL) +46.381s
8位 6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) +47.809s
9位 64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)+51.564s
10位 53 佐藤蓮(TEAM GOH)+52.487s
2022スーパーフォーミュラ チームランキング(第3戦終了時点)
1位:carenex TEAM IMPUL 53
2位:TEAM MUGEN 51
3位: KONDO RACING 27
4位:DOCOMO TEAM DANDELION RACING 23
5位:B-Max Racing Team 20
6位:Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 20
7位:TCS NAKAJIMA RACING KCMG 13
8位:TEAM GOH 10
9位:TCS NAKAJIMA RACING 6
10位:P.MU/CERUMO・INGING 3