久しぶりにモータースポーツをテーマにした日本映画が公開される。CGゼロで本物のドリフトマシンがスクリーン狭しと駆け抜ける「アライブフーン」の魅力を、映画評論家の永田よしのり氏に紹介してもらおう。
「もうひとつの生きがい」を見つけ出す青春ドラマでもある
最初はバーチャルレースの世界に没頭する人付き合いの苦手な若者の映画か、と思っていたら、実際のレースに参加するうちに、バーチャルだけでなくリアルの世界の醍醐味を体験していくことで「もうひとつの生きがい」を見つけ成長していく主人公、大羽紘一の青春物語にもなっている。
2020年から世界的に新型コロナウイルス感染拡大の影響下で「ライブ」に制限がかけられてしまった現実世界。バーチャル世界の進化はもはやライブに近いところまで進んでいる部分もあるが、やはり自分の目と耳と皮膚感覚で感じる「ライブ」の迫力は忘れることはできない。本作品はそんなことを、こんな時代だからこそ教えてくれているのかもしれない。
ぜひ、映画館で映像とエンジン音を体験して欲しい。そして願わくば一日も早く、実際のサーキットでも観客が大声で歓声をあげてレースの「リアル」を楽しめる日が来ることを。(文:映画評論家 永田よしのり)
■「ALIVEHOON(アライブフーン)」
Ⓒ2022「アライブフーン」製作委員会
2022年6月10日(金)全国公開
配給:イオンエンターテイメント
上映時間:120分
監督:下山天
出演:野村周平、陣内孝則、吉川愛ほか