日本はもちろん、世界中で大ヒット中の映画「トップガン マーヴェリック」。なぜ、この映画がそんなに人気を集めるのか。その秘密を映画評論家の永田よしのり氏に解説してもらおう。(Ⓒ2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.)

クルマ&メカ好きにもたまらないマシンの数々

まあ、すでに公開中なので細かいストーリーの紹介はここまでにしよう。とにかく本作品は1986年当時「トップガン」を観て、この映画が大好きだった者たちには大満足の仕上がりになっている。それは「『トップガン』といえばこれ!」といった場面や音楽の数々が本作品でも見事に再現されているからだ。

画像3: Ⓒ2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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「トップガン」ファンならば思い出すに違いない、これぞ「トップガン」という場面の数々。ケニー・ロギンスの主題歌やテーマソング、航空母艦からの戦闘機の発着シーン、夕陽をバックにした登場人物たちの姿、トム・クルーズがオートバイで疾走する場面、1980年代に流行した多くの曲・・・。36年前の雰囲気を2020年代に蘇らせながら、現在ならではの問題も組み込んでいる。ただ続編を作っただけではない、という製作者陣の思いが「トップガン」愛とともに映画には込められている。

さらにファンの胸を鷲づかみにするのは、登場する印象的なマシンの数々。ピートの乗るオートバイが前作ではカワサキ GPZ900Rだったのが、その後継マシンNinja H2になっていたり、前作で登場した女性教官のシャーロットが乗っていた愛車はポルシェ 356スピードスターだったが、今回ピートの恋人ペニーでは初代ポルシェ911になっていたり、前作で準主役的存在の戦闘機F14トムキャットは最新鋭機のF/A18E/Fスーパーホーネットに代わっていたり(でも、ここぞという場面でF14が登場する!)。いろいろな場面で「前作でも観た!」という喜びが沸き上がってくる。

青春時代に「トップガン」を映画館で観た人には、当時のいろいろな思い出が蘇ることも多いだろう。だがノスタルジックだけではない、今の世界で「トップガン」を製作したら、という姿勢もしっかりとあるのが「トップガン マーヴェリック」なのだ。

画像4: Ⓒ2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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映画は究極に言ってしまえば絵空事だ。それ以上でも以下でもない。ならばエンターテインメントに徹した映画をただただ純粋に楽しむことは、映画を観る喜びのひとつではないだろうか。本作「トップガン マーヴェリック」は、まさにそうした1本であろう。日本では当時のファンから若者まで多くの観客が映画館に足を運び、2022年6月6日時点で早くも興行収入は30億円を突破している。これは2020年以降(コロナ禍以降)に公開された洋画では、最速の数字だ。

今後、この数字はまだまだ伸びるだろう。前作「トップガン」を監督した、今は亡きトニー・スコットは「トップガン マーヴェリック」の大成功をどんな思いで空の上から見ていることだろうか。想像するに、きっと親指を立てて(サムズ・アップ)喜んでいるに違いない。(文:映画評論家 永田よしのり)

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■「トップガン マーヴェリック」

Ⓒ2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
配給:東和ピクチャーズ
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ヴァル・キルマー、エド・ハリス、ほか
上映時間:131分

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