2022年6月21日、スバルは米国のベル・テキストロン社と共同開発したヘリコプター、「スバル ベル(SUBARU BELL)412EPX」を海上保安庁から受注した。納入は2025年を予定している。

海難救助や海上災害対策での活躍を期待

スバルでは、自動車製造だけでなく、航空宇宙カンパニー部門が同社のルーツである「中島飛行機」の技術とスピリットを受け継ぎ、ボーイング 787型機の中央翼といった旅客機の部品や、ヘリコプターの開発および製造も行っている。

画像: 国土交通省 中部地方整備局に続き、海上保安庁からも受注されたスバル ベル 412EPX。

国土交通省 中部地方整備局に続き、海上保安庁からも受注されたスバル ベル 412EPX。

同社が米国のベル・テキストロン社と共同開発したヘリコプター「412EPX」は、2022年6月17日に国土交通省 中部地方整備局から受注したばかりだが、続けざまに今回は海上保安庁から受注した。それだけ、412EPXの性能が評価されているということだろう。

海上保安庁では、海上における治安の確保、海難救助、海上災害対策などに従事し、被災地への物資輸送なども行う見込みだ。現在、海上保安庁が所有する「ベル 412EP」と共通性があることから、スムーズな導入・移行が可能だ。加えて、出力向上により運用範囲が拡大したことや、積載可能重量の増加等の性能改良によって、さらなる輸送能力と運航効率の向上を提供する。

2021年から納入されている、スバル ベル 412EPXは、412シリーズのパフォーマンスと安全性を向上させ、これまで民間機市場で高い評価を得ていた実用性と信頼性を維持しつつ、機能性を高めたモデルだ。新たな特徴としては、より頑丈なメインローターギアボックス、ドライラン(オイル切れでも飛行可能)機能の追加、最大全備重量(機内搭載時)の増加(1万2200ポンド=5534kg)、マストトルク11%向上(速度60ノット以下)、などが挙げられる。

画像: スバル ベル 412EPXの計器盤。

スバル ベル 412EPXの計器盤。

この412シリーズの機体を共通プラットフォームに、陸上自衛隊向けの仕様を織り込んだ「UH-2」も開発・製造が行われている。

スバルでは、今後も機体の製造・販売のみならず、部品供給や定期整備等を通じて、ヘリコプターの安全・安心な運航をサポートしていくという。

■スバル ベル 412EPX 主要諸元

●全長:17.1m(胴体長:13.1m)
●全高:4.6m
●ローター直径:14m
●空虚重量:3091kg
●乗員+乗客数:1+14名
●キャビン容積:6.2立方メートル
●燃料タンク容量:1251L
●最大速度:259km/h
●最大巡航速度:228km/h
●航続距離:669km
●最大飛行時間:3.8時間

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