CG技術の凄さは、さらに進歩していた!
その映像を初めて観たときは、驚嘆以外のなにものでもなかった。それほど当時の映像は革命的とも言えるCG技術の新しい一歩を見せてくれた「ジュラシック・パーク」が公開された1993年から約30年。大ヒットシリーズ第6作目にしてひとつの結末を見せてくれるのが「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」だ。
物語は前作「ジュラシック・ワールド/炎の王国」を引き継いでいる。ジュラシック・ワールドのあった島での火山噴火から救出された恐竜たちが米国に移送され、世界に解き放たれてから4年後の世界。人間と恐竜たちとは日常生活の中で奇妙な共同生活を送りつつある。今でも恐竜たちとの共生を探り続けている保護活動者のオーウェンとクレアは、山奥でジュラシック・パーク創設の協力者であったロックウッドの娘から作られたクローン少女のメイジーを養女として一緒に暮らしていた。
だが、バイオテクノロジー企業のバイオシン・ジェネテック社に、メイジーと、ヴェロキラプトルのブルーの子どもであるベータが連れ去られてしまう。一方、テキサスでは遺伝子操作された巨大イナゴが農場を襲う事件が起きていた。世界でいったい何が起き始めているのか? オーウェンとクレアはメイジーたちを取り返すため、事件の鍵を握るバイオシン社に潜入を決意、道中さまざまな苦難を乗り越えメイジーと再会、バイオシン社の陰謀を明るみにするため、脱出に奔走することに・・・。
今作品も世界中で大ヒット間違いなし!?
本作品では、これまでも登場したようにメルセデス・ベンツやジープなど各車種も登場、ジープ ラングラーはジェフ・ゴールドブラム演じるマルコム博士とともに活躍するし、オートバイのモンテッサ 4RIDEもオーウェンの見せ場に一役買っている。
特にオーウェンが街中に放たれた改良アトロキラプトルたちとバイクでのチェイスを繰り広げるシーンなどは、どこまでがリアルなのか、どこからがCG合成なのか分からない迫力とアングル。もうここまで来ると、「どこが実写でどこがCGなのか論争」やその判別は、映画を楽しむためには必要ないことかもしれない。
日本での「ジュラシック・パーク」シリーズの興行成績は、1作目(1993年)の93億円(当時は配給収入)から前作「ジュラシック・ワールド/炎の帝国」(2018年)まで、50億円以下だったことはない大ヒットシリーズだ。今作の「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」でシリーズはひとまず結実を迎えるようだが、果たして邦題にある「新たなる支配者」とは、いったい何ものを指すのか? 第1作に出演していたローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニールらも再登場して、前作からの主役たちと行動をともにする展開は、まさにこれまでのストーリーがひとつの終焉を迎える集大成。
「恐竜」という過去に棲息した巨大生物たちを遺伝子から復活させ主役にする、というアイディアから生まれた「ジュラシック・パーク」シリーズ。CG技術映像の発展だけではなく、そのストーリーも「もしかしてあり得ることかも?」と思わせることで世界中で大ヒットを記録してきた。今回の第6作目も、もちろん世界中で大ヒットすることだろう。
約30年続いてきた物語は、今作でひとつの終結を見せることになるわけだが、果たして本当に完結してしまうのだろうか? そこは期待を持って第7作を待つことにしよう。映画の中の物語や登場人物も、次の世代に受け継がれていくことは間違いないのだから。(文:映画評論家 永田よしのり)
■「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」
Ⓒ2021 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
2022年7月29日公開
配給:東宝東和
監督:コリン・トレボロウ
出演:クリス・プラット、プライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、サム・ニール、ジェフ・ゴールドブラム、ほか
上映時間:147分