PGO セヴァンヌ(2011年:ニューモデル)
今春(編集部註:2011年)に日本デビューを果たしたフランスのユニークなスポーツカーが「PGO」だ。3モデルがラインアップされるが、今回「セヴァンヌ」という女性にもウケそうなオープンモデルを試乗することができた。
日本では「PGO」という社名は、聞き慣れない人のほうが多いだろう。1985年から製造を開始して、2000年にはPGO社として創立したフランスの自動車メーカーだ。同年のパリ・モーターショーで「スピードスター2」というプロトタイプを発表し、2001年には南フランスのアレスに生産拠点を置き、生産を開始。2002年にはホモロゲーションを取得している。
現在(編集部註:2011年)は、「スピードスター2」のほかに「エムラ」と、今回試乗した「セヴァンヌ」の計3車種を製造している。最近では、パリのシャンゼリゼ通りの近くにショールームがオープンしたとのことだ。規模的には、ピーク時には年間300台を製造できるくらいの対応力があるが、基本的には、ハンドメイドのセミオーダーが可能な、洋服でいえばプレタポルテくらいの感覚でクルマ作りをしているようだ。
日本では、2010年にドンカーブートやイエス!などの正規輸入ディーラーとしてお馴染みのオートリーゼンが契約を結び、今年(編集部註:2011年)になって待望の実車が導入された。そして今回、待望の試乗ができることになったというわけだ。
さて、セヴァンヌのスタイリングだが、デザイン的にはポルシェ 356を彷彿とさせる、ちょっとクラシックテイストなもの。だが、ブリティッシュグリーンの内装と相まって、どことなくイギリス調なのが不思議なところ。しかし実際、インテリアなどに使われているパーツは、プジョー製のものが多い。たとえば、エアコンやシフトまわりのパネル類や、ドアミラーはスイッチまわりも含めてプジョー製だ。
プジョー製のパワートレーンはノーマルでも不満ない
パワートレーンもプジョー製だ。307などに搭載されていた2Lの直4 DOHCエンジンに、トランスミッションは5速MTか4速ATを組み合わせる。これをコクピットの後ろにミッドシップしている。最高出力は140ps、最大トルクは20kgmというパワースペックを見ても、パワートレーンにチューンアップなどはまったく施されていないようだ。
だが、307の車両重量が1270kgなのに対し、このセヴァンヌは1トンを切る980kgとけっこう軽い。そのため、公称の最高速度は200km/h、0→100km/h加速は約7秒でこなすとアナウンスされており、見た目からしてもけっこう素早そうだ。とはいえ、このクルマは速く走って楽しむ類いのモデルではなく、どちらかといえば気分的に速さを味わうモデルといえるだろう。全高は1320mmにおさえられており、着座位置もかなり低めだから、時速50kmで走っていても体感速度は十分に速い。
マルチチューブラー製のシャシは予想以上にしっかりしていて、思ったより乗りやすい。それでも、クルマの挙動はRRレイアウトに近いうえ、フロントの接地感が少し不足している。そのため、舵角を少なめにしてコーナーに挑むような、ややレーシーな走りが求められるが、絶対的なパワーが大きくはないから、この手のクルマとしては乗りやすい。
手動開閉式(当たり前か)のソフトトップはアルパカ製ということなので、雨漏りしないか気にかかったが、問題はないだろう。エクステリア&インテリア カラーはもちろん、ハンドル位置、トランスミッションなど、自分好みでさまざまにチョイスが可能だという。
そのデザインのキュートさもさることながら、自分好みの1台を仕上げることができるという点は、女性にも人気が出そうな1台といえるだろう。
■PGO セヴァンヌ 主要諸元
●全長×全幅×全高:3700×1675×1320mm
●ホイールベース:2230mm
●車両重量:980kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1997cc
●最高出力:103kW(140ps)/6000rpm
●最大トルク:196Nm(20.0kgm)/3000rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:205/40R17
●当時の車両価格(税込):519万7500円