複雑な構造だけに生産工程も精巧で革新的
そんなメルセデス AMG ONEがいよいよ生産開始となったが、その生産工程も複雑で、パワートレーンはイギリス・ブリックスワースのメルセデス AMG ハイ パフォーマンス パワートレイン社で生産、最終の組立はマルチマティック社の協力の下イギリス・コベントリーの専用工場で行われ、ドイツアファルターバッハのメルセデス AMGに送られる。ちなみに、メルセデス AMG ハイパフォーマンス パワートレイン社はF1マシンのパワーユニット開発と製造も担当している。
■Mercedes‑AMG GmbH フィリップ ・シーマー会長のコメント
「メルセデス-AMG Oneは、開発から生産まで、これまでにない新しいプロジェクトの下で行われます。これは電動化に向けた意欲的な戦略であり、圧倒的なパフォーマンスと効率を実現しています。それはアファルターバッハのメルセデス AMG、ブリックスワースにあるF1 エキスパートのメルセデス AMG ハイ パフォーマンス パワートレイン、そして生産パートナーのマルチマティック社によるチームワークによるものです。チーム全体として、最初の顧客車の生産を開始できたことを非常に誇りに思っています」
イギリス・コベントリーの専用工場での具体的な生産は、合計 16 のステーションで手作業で行われるが、その作業手順はまるで高級時計の製造のよう。ハイ パフォーマンス パワートレインから供給されるeTurbo ハイブリッド燃焼エンジン、プラグイン ハイブリッドの高電圧バッテリー、の電気モーターを備えたフロント アクスルなどは、事前に組み立てとテストが行われた状態でコベントリーにやってくる。
■16 の主要ステーションで編成された生産工程
●ステーション 1 ~ 4: 機械部品とすべての低電圧コンポーネントの組み立て
●ステーション 5 ~ 6: 高電圧バッテリーと高電圧接続、内燃機関と電気モーターの試運転、および車両の試運転
●ステーション 7: インテリアのインストール
●ステーション8:外装ボディパネル、ドア、クォーターパネルの組み付け
●ステーション 9: 外装の組み付け
●ステーション 10: 外装ボディの最終組み付け
●ステーション 11:アクスルとフロアパネルの組み立て
●ステーション 12: ホイールとヘッドライトの調整
●ステーション 13: すべての走行モードで車両をテスト
●ステーション 14: NVH テスト (ノイズ、振動、ハーシュネス)、必要に応じて微調整
●ステーション 15: ウエット走行テスト
●ステーション 16: 目視検査と技術的機能テスト
生産にあたっては合計で 50 人以上のスペシャリストによって詳細な品質チェックが行われ、最終段階ではロールアウトされた後、1台1台、テスト ドライバーによって走行テストされる。 その後、完成した車両はドイツ・アファルターバッハのメルセデス AMG 本社に輸送され、技術的な車両ブリーフィングと車両の引き渡しが行われる。
メルセデス AMG ONE 主要諸元
●全長×全幅×全高:4756×2020×1261mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1695kg
●パワートレーン:V6DOHCターボ+モーター
●エンジン排気量:1599cc
●エンジン最高出力:422kW(574ps)/9000rpm
●モーター最高出力:450kW(611ps)
●システム総合最高出力:782kW(1063ps)
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:11.5km/L
●タイヤサイズ:前 285/35ZR19、後 335/30ZR19
●最高速:352km/h
●0→100km/h加速:2.9秒