都内から関越道を経て奥日光から日光方面へのアプローチ。そして帰路は東北道経由で都内へ。
総走行距離は優に600㎞を超えるロングドライブで再確認したスバルBRZの本質を、6速ATと6速MTそれぞれの感性から探ってみた。(Motor Magazine 2022年9月号より)

グランドツーリングカーの資質を併せ持つピュアスポーツ

ハンドリング面でも、トランスミッションによる違いは感じられない。路面を押さえ込むしっかり感としなやかさは、長年にわたるスポーツシーンでの活動におけるハイスピードコーナリングで鍛えられたゆえの乗り味だ。

画像: 重心高は先代比で4mm下げられ456mmに。ハンドリングはさらに研ぎ澄まされた。(「R」6速AT)

重心高は先代比で4mm下げられ456mmに。ハンドリングはさらに研ぎ澄まされた。(「R」6速AT)

ボンネットやフロントフェンダーをアルミ化することで軽量化を実現しつつ、ボディ剛性も大幅に強化されているのも効いている。先代モデル比でフロント曲げ剛性は60%、ねじり剛性で50%アップ。リアのサブフレームは70%も強化されているという。

結果、旋回中にさらにハンドルを切り込んだ時の追い込み感は絶妙で、グイグイとコーナーに入っていく上に、旋回速度を上げていくときにもリアの動きにいささかの不安も生まれない。 

一般道~高速道路、そして数多のコーナーが続いた山岳路。延べ600kmを軽く超えたロングツーリングを終えても、疲れはまるでない。多くのコーナーを通過し、時には積極的に、ひたすら走り続けたにもかかわらず、だ。

BRZにはグランドツーリングカーとしても高い資質が確かに存在する。まさに欧州でロングドライブを楽しんだ後に味わう爽快な達成感と同じだ。

変革の時代のただ中にあるとはいえ、磨き込んだ技術の結晶を今一度味わうべきであることを再確認した今回のロングランドライブ。ピュアスポーツを指向しながら、走り込むほどに安定感の高さに気づかされる奥深さこそ、BRZの真骨頂なのだ。(文:瀨在仁志/写真:永元秀和、井上雅行)

アイサイト搭載(6速AT車)

画像: ドライバーに必要な各運転支援機能のオン/オフやレベルの調整ができるアイサイトの設定画面。

ドライバーに必要な各運転支援機能のオン/オフやレベルの調整ができるアイサイトの設定画面。

BRZにもついにアイサイトが搭載された(6速AT車に標準装備)。全車速追従クルーズが可能で、今回のロングドライブを一層快適で安全なものにしてくれた。クルーズスイッチで速度を決めれば前走車との車間を一定に保ちつつ、自然吸気2.4Lエンジンの粘りも相まって加減速の応答性は極めて高い。ゆえに不用意に車間が空くこともなく、他の走行車両への気遣いを最小限に抑えて安心してドライブできたのはさすがである。

スバルBRZ S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:対4DOHC
●総排気量:2387cc
●最高出力:173kW(235ps)/7000rpm
●最大トルク:250Nm/3700rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:11.9km/L
●タイヤサイズ:215/40R18
●車両価格(税込):326万7000円
※取材車両のボディカラーは特別塗装色(イグニッションレッド)で5万5000円高。

スバルBRZ R 主要諸元

●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1280kg
●エンジン:対4DOHC
●総排気量:2387cc
●最高出力:173kW(235ps)/7000rpm
●最大トルク:250Nm/3700rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:11.89km/L
●タイヤサイズ:215/45R17
●車両価格(税込):324万5000円

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