2022年8月19日から21日にかけて、WRC(世界ラリー選手権)第9戦イープル・ラリー・ベルギーがベルギー西部のイープルを中心に開催される。イープル・ラリーは昨年初めてWRCとして開催されたばかりで日本では馴染みがないが、1965年から欧州選手権として開催されるなど高い人気を誇る伝統あるラリーだ。

ロバンペラのチャンピオン決定の可能性も

前戦ラリー・フィンランドの終了後、1週間という短いインターバルを経て、戦いの舞台はフィンランドの未舗装路から、ベルギーの舗装路に移る。

前戦ラリー・フィンランドではヒョンデのオィット・タナックが得意の高速グラベルで本領を発揮して優勝。スタート順のハンデに苦しんだトヨタのカッレ・ロバンペラは、土曜日以降、ベストタイムを連発して追い上げたものの、最後は無理せず選手権を優先して2位でフィニッシュした。

これでロバンペラがドライバーズランキング2位のタナックに94点の大差をつけて第9戦イープル・ラリーを迎えることになったが、今回このイープル・ラリーでロバンペラが優勝した場合、4戦を残して初のドライバーズタイトルを獲得する可能性もある。

画像: イープル・ラリー・ベルギーはベルギー西部のイープル(Ieper)を中心に開催される。

イープル・ラリー・ベルギーはベルギー西部のイープル(Ieper)を中心に開催される。

2022年WRCドライバーズランキング(第8戦終了時)

1位 K.ロバンペラ(トヨタ) 198
2位 O.タナック(ヒョンデ)104
3位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)103
4位 E.エバンス(トヨタ)94
5位 勝田貴元(トヨタ)81
6位 C.ブリーン(Mスポーツ フォード)64

2022年WRCマニュファクチャラーズランキング(第8戦終了時)

1位 トヨタ 339
2位 ヒョンデ 251
3位 Mスポーツ フォード 174

小さなミスが大きなアクシデントに繋がりやすい難しいラリー

イープル・ラリーは、農場内の道幅が狭いをターマック(舗装路)が中心となるのが特徴。直線とジャンクション(曲がり角)が連続するステージが多く、道の脇には排水溝や電柱があり、道幅が狭いため、小さなミスが大きなアクシデントに繋がりやすい難しいラリーとして知られている。

きつい曲がり角でイン側をカットして走るクルマが多く、石や砂がステージ上にかき出されるのも特徴で、そのため路面の変化、グリップの変化が大きい。グラベルと違って出走順が早いことはクリーンな状態の路面を走ることができることになるが、路面に土や埃が浮いて滑りやすいこともある。

画像: イン側をカットして走るクルマが多く、石や砂がステージ上にかき出され、滑りやすい路面となることが多い。

イン側をカットして走るクルマが多く、石や砂がステージ上にかき出され、滑りやすい路面となることが多い。

ラリーのサービスパークは今年もイープルの街中に置かれ、昨年は遠く離れた東部のスパ・フランコルシャン・サーキットで最終日を行ったが、今年は全ステージがイープルから半径30km以内に収まるなど、非常にコンパクトな構成となっている。

競技初日となる19日の金曜日は、イープルの周辺で4本のステージを半時計周りに走行。ミッドデイサービスを経て、同じステージを再走する。

20日の土曜日も、金曜日と同じエリアが舞台となるが距離は長くなり、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は133.22kmと、3日間で最長の一日になる。

最終日の21日日曜日は2本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。ケンメルベルクで行われる最終のSS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。

ステージは全部で20本で、その合計距離は281.58km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は687.24kmとなる。

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