2022年WRC第9戦、ヒョンデのタナックが連勝で今季3勝目、ロバンペラのチャンピオン確定はおあずけ【イープル・ラリー・ベルギー】

アクシデント多発、ロバンペラも餌食に

イープル・ラリーのターマックステージは道幅が狭いセクションも多く、わずかなミスがコースアウトに直結する危険性をはらむ。さらに各車がインカットでの走行を重ねるにつれて路肩のグラベルがコース上に乗り出して滑りやすい状況になることも多く、このドライバーにとっては厳しい舞台で今年はアクシデントが相次いだ。

まず犠牲になったのは圧倒的なポイント差で選手権をリードするトヨタのカッレ・ロバンペラ。ラリー初日のSS1でベストタイムを刻んで首位で迎えたSS2、中間ポイントの左コーナーでインにつくのが早すぎたGRヤリス ラリー1は曲がりきれずに側溝に落ちて大転倒。「ペースノートが楽観的すぎた」という若き天才はここでデイリタイアとなる。

ラリー2日目、土曜日の午前には、Mスポーツ・フォードのエース、クレイグ・ブリーンも転倒。そして午後には昨年の覇者でこのラリーがホームイベントとなるティエリー・ヌーヴィルが、SS15で路面に出ていたグラベルに乗ってコースアウト。首位独走からのリタイアとなってしまった。

タナックがエバンスを抑えてフィンランドに続く2連勝

ヌーヴィルの脱落で優勝争いはヒョンデのタナックとトヨタのエバンスに絞られた。

両者の戦いはタナックが土曜日午前に駆動系不調に悩まされたこともあってエバンスが一時3.9秒差まで詰め寄ったが、サービスで問題を修復した午後はタナックがペースアップ。ヌーヴィルが消えた勝負どころの土曜日最終SSでも、タナックがベストタイムを刻み、8.2秒差で最終日を迎える。

残されたステージは4SS。しかし、ステージ距離はわずか51.34kmで8.2秒差は大きく、タナックが逃げ切って前戦フィンランドに続く2連勝を飾った。

エバンスにとっては、ラリー初日金曜日午後にスローパンクでドライタイヤ1本を失い、2ステージをコンディションに合わないレインタイヤを含むタイヤセットで走らざるをえなかったこと、さらにはコドライバーのミスでSS8のスタートTCに遅着し、10秒のタイムペナルティを受けたことが響いた。

前後の選手と大きな差がついていたトヨタのラッピは、表彰台を確実に獲得するため堅実な走りを続け3位でフィニッシュ。今シーズン3回目の3位獲得により、チームに貴重なマニュファクチャラーズポイントをもたらした。

また、ラリー初日にデイリタイアとなったロバンペラは、最終日のパワーステージの優勝によってボーナスの5ポイントを獲得。ドライバー選手権におけるリードは72ポイントとなった。

次戦第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャは、9月8~11日、ラミアを起点に開催される。昨年、8年ぶりにWRCのカレンダーに復帰したこのイベントは、1951年に初開催された伝統的なグラベル（未舗装路）ラリーとなる。

2022年世界ラリー選手権WRCも残り4戦、最終戦第13戦は11月10日〜13日のラリージャパンが予定されている。

■2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー　結果

1位：O.タナック（ヒョンデ i20 N ラリー1））2h25m38.9s
2位：E.エバンス（トヨタ GRヤリス ラリー1）+5.0s
3位：E.ラッピ（トヨタ GRヤリス ラリー1）+1m41.6s
4位：O.ソルベルグ（ヒョンデ i20 N ラリー1）+3m28.5s
5位：勝田貴元（トヨタ GRヤリス ラリー1）+6m06.1s
6位：S.ルフェーブル（シトロエン　C3 ラリー2）+9m45.7s
7位：A.ミケルセン（シュコダ ファビア ラリー2 エボ）+10m03.8s
8位：Y.ロッセル（シトロエン　C3 ラリー2）+10m54.8s
9位：C.イングラム（シュコダ ファビア ラリー2 エボ）+11m20.8s
10位：N.グライジン（シュコダ ファビア ラリー2 エボ）+11m26.8s

■2022年WRCドライバーズランキング（第9戦終了時）

1位 K.ロバンペラ（トヨタ） 203
2位 O.タナック（ヒョンデ）131
3位 E.エバンス（トヨタ）116
4位 T.ヌーヴィル（ヒョンデ）106
5位 勝田貴元（トヨタ）92
6位 C.ブリーン（Mスポーツ フォード）64

■2022年WRCマニュファクチャラーズランキング（第9戦終了時）

1位 トヨタ 381
2位 ヒョンデ 293
3位 Mスポーツ フォード 188

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