2022年11月7日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで2022 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINALが行われ、100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)がポールトゥウィンを達成。そして2位に入った12号車カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲッド)がタイトルを獲得。同チームにとって27年ぶりの栄冠となった。3位には14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が入っている。

チャンピオン争いは5台に絞られた

第7戦から1ヶ月の時を経て迎えた最終戦。最終戦の舞台は久しぶりにモビリティリゾートもてぎで、まさにスーパーGTの最終戦にふさわしい舞台が帰ってきた。

画像: 予選3番手の12号車そしてすぐ後方には3号車と、2台のZによるチャンピオン争いが期待された。

予選3番手の12号車そしてすぐ後方には3号車と、2台のZによるチャンピオン争いが期待された。

前日に行われた予選で14号車はポールポジションを獲得することができず、この時点でチャンピオン争いから脱落。チャンピオン争いは3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)、12号車、17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)、37号車KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラス/宮田莉朋)、そしてポール獲得で1ptを加算した100号車の5台で行われることとなった。

画像: 見事なポールトゥウィンを達成した100号車(手前)は予選から速さが際立っていた。

見事なポールトゥウィンを達成した100号車(手前)は予選から速さが際立っていた。

逆転チャンピオンを狙う100号車がポールポジションからトップで1コーナーをクリア。後ろでは2番手スタートの19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)を抜くべく12号車が襲いかかる。3コーナーで12号車が前に出るも、19号車が5コーナーで再び2位に浮上。同じ5コーナーで順位をあげていた8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)と3号車が接触し8号車がスピン。なんとこの接触で3号車にドライブスルーペナルティが科されてしまった。

さらにGT300の車両も巻き込んだ多重クラッシュが3コーナーで発生しFCY(フルコースイエロー)となったが、SC(セーフティカー)切り替わり、ホームストレート上での隊列整理が行われた。しかし隊列整理が行われた後のSC走行中にホームストレートでGT300で追突事故が発生し、SCが長引くことになってしまった。

画像: 10周目にFCYから切り替わったSC先導は、アクシデントが重なったことでその後10周回にも及んだ。

10周目にFCYから切り替わったSC先導は、アクシデントが重なったことでその後10周回にも及んだ。

レースは21周目にようやくリスタート。100号車、19号車、12号車のトップ3は変わらないが、なんと10番手スタートだった17号車が4番手につけていた。しかも3位につける12号車に勢そのまま襲いかかるが、ここは12号車が3位を死守。

ピットウインドウが開いたのはレースの3分の1である21周目。各車義務のピットを終え、100号車、12号車、14号車、というトップ3になり、3台は僅差で優勝争いを展開。しかし順位は変わらず100号車が優勝、そして2位に入った12号車が悲願のドライバーズチャンピオンを獲得した。

ランキング2位で最終戦に臨んだ12号車が逆転でのチャンピオンを決めた。ドライバーの平峰とバゲットは共に初のGT500でのドライバーズチャンピオンに輝いた。IMPULとしても1995年以来、27年ぶりにGT制覇となり、今年日産が投入した新型ニッサンZもデビューイヤーでタイトルを獲得してみせた。3位には苦しみながらも混戦をすり抜け順位をあげた14号車が入り、トヨタとして一矢報いる結果となった。

画像: 常にチャンピオン圏内に居続けた12号車。最終戦でも安定感は抜群であった。

常にチャンピオン圏内に居続けた12号車。最終戦でも安定感は抜群であった。

レースで主導権を握り続けた12号車

ランキングトップの3号車の思わぬ脱落により優位にレースを運べた12号車。しかし予選から常にチャンピオン獲得条件を満たしていた12号車は非常に冷静だった印象を受けた。

画像: チームを底上げした星野一樹(左から2番目)。参謀として戦略面でも大きな功績をあげた。

チームを底上げした星野一樹(左から2番目)。参謀として戦略面でも大きな功績をあげた。

平峰とバゲッドはこれまで多くの困難と闘ってきたが、今年は1年を通して安定感と速さを兼ね備えており、チャンピオンにふさわしいシーズンだったと言える。

優勝を果たした第5戦鈴鹿ではドライバーの速さに加え、チーム戦略がどんぴしゃりとハマり、今年のインパルチームの強さを象徴するレースだった。今年チームに加入しサポートを行った星野一樹の存在も大きかったはずだ。第5戦の優勝は星野による戦略が大きな勝因であり、優勝会見で平峰もドライバーとエンジニアの間に入ってコミュニケーションを取ってくれると語っている。

速いだけではなく、その時の最大限稼げるポイントを持ち帰る強さ、総合力が今年のインパルにはあった。星野一義監督も認めたチーム力は来年以降、王者としてさらなる強さをみせてくれるに違いない。(写真:井上雅行)

画像: 開幕前に天に旅立った高橋国光氏に優勝を捧げた100号車のふたり(中央)。

開幕前に天に旅立った高橋国光氏に優勝を捧げた100号車のふたり(中央)。

■2022年スーパーGT 第8戦決勝 GT500結果

1位 100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐) 63周 
2位 12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)+1.212s
3位 14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)+1.888s
4位 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)+2.795s
5位 17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)+16.005s
6位 37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)+26.476s
7位 19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)+33.939s
8位 8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)+40.295s
9位 36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ)+45.265s
10位 38 ZENT CERMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)+50.036s

画像: タイトル獲得の喜びに加え、感謝の安堵の気持ちが入り乱れているようにも見える星野一義監督、ベルドラン・バゲッド、そして平峰一貴。(左)

タイトル獲得の喜びに加え、感謝の安堵の気持ちが入り乱れているようにも見える星野一義監督、ベルドラン・バゲッド、そして平峰一貴。(左)

■2022年スーパーGT GT500 ドライバーズランキング

1位 12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)70.5
2位 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)66
3位 100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)62
4位 17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)60
5位 14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)49
6位 37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋) 43
7位 23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)37
8位 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)33
9位 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)30.5
10位 36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ)29.5

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