欧州各地で2500kmドライブ、のべ58週間を超えるテストを実施
2022年8月にモントレー・カー・ウィークでワールドプレミアされた「ベントレー・マリナー・バトゥール」は、まず数々のイベントに参加するために製作され、さらに2台が開発用として先行生産され、今後、最高水準の車両性能と品質を確実なものとするための厳しいテストプログラムを重ねていく。
エンジンパワーの向上を検証するための100週間以上のテストはすでに完了しているが、欧州各地でのべ58週間を超える車両検証が予定されている。
そのテスト項目は、エンジンや車両の耐久性、環境適合性と太陽光のシミュレーション、高速安定性、空力、騒音・振動、ドライビングダイナミクス、表面仕上げの品質から、新しいW12エンジンのハードウェアとソフトウェアに至るまで、多岐にわたる。
また2台のうちの1台である「カーゼロ」は、実際の走行状況をシミュレーションするため、ドイツを出発し、イタリア、フランス、スペインを経て、ヨーロッパ横断2500kmドライブを行い、その後、テストコースでの高速チェックも行われる。
次世代の素材開発テスト、完全電動化に向けた準備も
ベントレー・マリナーのであるポール・ウィリアムズ チーフテクニカルオフィサーは次のようにコメントしている。
「バトゥールは究極のGTであり、エクステリアデザイン、エンジンパワー、ハンドクラフトのインテリアなど、すべての要素が妥協なく作り上げられました」
「新しい挑戦となるユニークな機能がいくつもあります。例えば、エクステリアのヘッドランプは非常にコンパクトなLEDユニットで、スタイリング・チームがデザインした挑戦的なプロポーションに合わせて作られており、クルマの外観を一変させますが、生産過程は複雑です。小さなディテールまで計算されており、フロントグリルのダイヤモンドの角度はW12エンジンのシリンダーの角度を表しています」
「プルービンググラウンドでは、7週間にわたり、ハンドリングトラック、混合路面、高速テスト、過酷な路面状況での耐久性テストが行われる予定です。これらのすべての活動において、データとフィードバックが収集され、技術目標が達成されていることが確認されます」
「プルービンググラウンドでの作業が完了すると、さらに7,500kmの実走行が行われ、環境試験が開始されます。4週間弱で600時間の太陽熱負荷に耐えることになります。特に、カーボンファイバーに代わるサステナブルな新素材を外装部品に採用したため、この試験は重要です」
ベントレー史上、もっとも進化したシャシシステム
バトゥールは、ベントレー史上最もパワフルな車であり、象徴的な手作業で組み立てられた6LツインターボW12エンジンの最高出力729Bhp以上のバージョンを搭載している。
新しいエアインテークシステム、改良型ターボチャージャー、改良型インタークーラー、エンジンギアボックスとエレクトロニックスタビリティコントロールの新しい組み合わせを確認するために、すでに100週間を超えるパワートレーン開発が完了し、最高峰のW12を完成させたという。
ベントレーの完全電動化に向けた『ビヨンド100戦略』の一環として、内燃機関が終わりの時を迎えるにあたり、バトゥールはW12の並れたパワー、トルク、洗練性を称えるべき存在となった。スピードチューンエアサスペンション、電動アクティブアンチロールコントロール、eLSD、4輪ステアリング、トルクベクタリングを備えたベントレー史上最も進化したシャシーに、ふさわしいエンジンパフォーマンスを発揮している。
用意される18台のバトゥールは、すべて予約済み。オーナーは、多彩な内外装のカラーバリエーションやトリム類を指定できる。つまりは18台のすべてが、それぞれに異なる仕様として製作されることになる。
着々とテストを進める中で、カーボンファイバーの代わりに天然繊維を車の一部に使用することも計画している、という。次世代のベントレーにとって、サステナビリティが重要な役割を担っていることは間違いない。