このサウンドを楽しむには、それなりのシステムが必要だ
当たり前の話だが、パワーアンプだけでオーディオは成り立たない。音源を演奏するプレーヤー、音量や音質の調整などをするプリアンプ、そして音の出口であるスピーカーが必要だ。
素人的には、オーディオの音質はスピーカーで決まるのでは?と思ってしまうが、スピーカーに「何も足さない、何も引かない」音(信号)を送るには、しっかりしたパワーアンプがなければならない。パワフルなエンジンと優れた足まわりとの組み合わせに通じるものがあるようだ。
今回、ML-50に組み合わされたシステムは、プレーヤーが同社のNo.519、プリアンプが同社のNo.523、そしてスピーカーがJBLのK2 S9900という、まるでマーベルのヒーローが勢ぞろいしたようなスゴいもの。ちなみに、システム総額は1000万円を軽く超えるはず・・・!
女性ボーカルやクラシック、そしてイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」などを短時間で試聴したが、学生時代はオーディオに興味を持っていたとはいえ、しょせん素人のボクが、その印象を評価できるわけがない。それでも、ボリュームをガンガン上げていなくても、音が立っている、つまり実際の演奏を聴いているようなリアリティを感じさせてくれた。
全システムをマークレビンソンで構成する・・・のって、あり?
さて、このML-50の標準価格(税込)は、ペアで605万円。それでも、世界100ペア限定のうち10ペアが日本に導入されるが、すでに売約済みらしい・・・! 前述のように、このパワーアンプを使うにはそれなりのシステムが必要だし、またそれなりのリスニングルームも必要だ。クルマだけでなく、オーディオ界にもスゴいマニアがいるようだ。
ここで、フッと思った。どうせなら、全システムをマークレビンソンで造ってしまえば良いのでは、つまりマークレビンソンはスピーカーを造るつもりはないのだろうか? 今回、ML-50のプレゼンテーションのために来日した、ハーマン ラグジュアリー オーディオのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるデビッド・トヴィッシー氏に尋ねてみた。すると「そんなこと、教えられないよ!」と笑いながら「マークレビンソンのクオリティをもった製品は、そう簡単には出せないからね」といいつつも、まんざらではない顔をしていた。
ヘッドフォンを送り出したことだし、アンプ内蔵のスピーカーシステムとか、近い将来には登場することも十分に考えられそうだ。いずれにしても、クルマでもオーディオでも、上には上があることを実感させてくれた試聴会だった。