主な技術規定の変更点
シーズン9ではGen2からGen3にマシンが変わり、これまで以上の高速バトルが繰り広げられることが予想される。使用マシンが変更されるという大きな変化が起こる訳だが、レギュレーションにも変更がなされている。
まず大きなところでいうと「レースフォーマット」だ。これまでフォーミュラEは45分+1周で行われていたが、シーズン9からはF1をはじめとするスプリントレースと同じように周回数で規定される。
従来、SC(セーフティカー)やFCY(フルコースイエロー)が導入されると、サッカーのアディショナルタイムのようにエクストラタイムが追加されていた。しかし今回から周回数に規定されたため、シーズン9からは周回数が延長されることになった。
これまでのフォーミュラEではファン投票による上位のドライバーにエクストラパワーを与える「ファンブースト」という同カテゴリーならではの試みがあった。また、コースの特定のゾーンを通過すると、一定期間ブーストが可能になる「アタックモード」もあった。
しかし、2023年シーズンでファンブーストは廃止、新たにいくつかのレースで「アタックチャージ」が導入されることになる。
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ファンもレースに参加できるこれまでになかった、電動車レースらしい取り組みだったファンブースト。
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レースの勝敗を左右するアタックモード。
これまで、レース中に急速充電することはできなかったが、戦略的技術パートナーと共同で30秒間で4kWhの電力量を受け入れることができるバッテリーを開発。レース中の決められた期間内にアタックチャージのためのピットストップを義務付けられ、レース後半にアタックモードを2回使えるようにするというもの。
この時の最高出力は50kW向上して350kWに。アタックチャージ中の充電は600kWの出力を持つブースターによって行われるという。ちなみに、すべてのレースでアタックチャージが適用されるわけではなく、一部のレースでは従来のアタックモードが適用される。
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これまでレース中の充電は不可能だったが、シーズン9でついにフォーミュラEでもピットストップが行われることになった。
そしてもうひとつ、F1同様にルーキードライバーの起用義務付けがレギュレーションに付け加えられた。参戦する全チームはシーズン中に少なくとも2回、フォーミュラEへの参戦経験がないドライバーをFP1(フリープラクティス1)で起用しなければならない。
これまでのフォーミュラEは他のカテゴリーで成功を収めたベテランドライバーが大半のグリッドを占めていたが、近年は若手ドライバーの参戦も増えてきている。これまで以上にドライバーラインアップの活性化を図るのが狙いだろう。
9年目を迎えるフォーミュラEは世界選手権になり、確実な進化を果たしてきたカテゴリーと言える。最高峰を目指すドライバーにとっての選択肢のひとつとして、考えられるようになるのではないだろうか。