雄大な景観に優れる高原のゴルフリゾート
宿泊先に期待したい要素のひとつに景色や眺望の良さがある。ゴルフコースも景観美に優れるロケーションが重要だ。その非日常的な空間と爽快さは自然や都会の夜景にも負けずとも劣らないと思う。丁寧に管理されたコースならなおさらで、美しく整えられた芝や木々の緑、そして抜けの良い空間に広がる青空は、ゴルファーでなくても心奪われる。
実際、海外では、コースを魅力ある景観としてウリにするリゾートや別荘地は多い。日本でもリゾート地にはそうした施設があるが、まだまだ少数派。しかし、そんな景観に優れた施設が関東近郊にもある。名門コースとして名高い「大箱根カントリークラブ」に隣接する「箱根仙石原プリンスホテル」だ。
名勝「仙石原すすき草原」近く、静かな別荘地の奥に建つ。塔やアーチ状の意匠を取り入れた建物はスペインの古城を模したもので、まさに森の中の城のよう。館内も欧州の館のごとく石材や木材を多用しており、スペイン由来の調度品と相まってクラシカルで落ち着きある空間だ。
客室は4タイプ。コーナーバルコニーを持つ52.8平方メートルの「Kodachiラグジュアリー」、同じく角部屋で33.3平方メートルの「Hikariブリリアモダン」、広いバルコニーを備えた50.5平方メートルの「Kodachi/Hikariプレミア」、そして窓越しの壁面がアーチ形のバルコニーとなる28.9平方メートルの「Kodachi/Hikariスーペリア」が選べる。
いずれも大箱根のゴルフコースに面しており、美しいコースと箱根外輪山の雄姿を望むことができる。それは色とりどりの緑で織られた絨毯のよう。これからの季節は鮮やかなエバーグリーンの世界が広がり、爽やかさはこのうえない。
この見事な世界を楽しめるのは客室だけではない。ふたつのダイニングからの眺望も素晴らしい。ステンドグラスを模した天井を飾る「グリル」の大きな窓は、まさにピクチャーウィンドウ。箱根外輪山の姿を絵画のように切り取っている。
その階上にあるメインダイニングの「プラ デュジュール」では、旬の食材を生かしたコース料理を雄大な景色とともに堪能できる。今回、食事を試す機会は逃してしまったが、陽が沈み山々の稜線が浮かび上がるディナータイムは得難いひとときになるだろう。
また、大浴場に備わる露天風呂も大きな魅力だ。箱根外輪山を望み、温泉は箱根十七湯のひとつ、姥子温泉の単純温泉を引く。箱根寄木細工を模したシンメトリカルな壁面と雄大な箱根の自然が融合する素敵な空間で、思わず長居したくなる。
この静謐で美しい景色と温泉がもたらす心地良さは格別だ。心身を整える意味でもゴルファー諸氏にはプレイだけでなくステイをおススメしたいホテルであり、ステイを目的に訪れたいホテルでもある。(文:小倉 修)