カーリースやレンタカーなどクルマを所有せずに利用する方法は過去からあったが、ここ最近ではカーシェアやサブスクなどの新たな利用形態も増えてより身近になった。そんな、運転免許さえ持っていれば誰でもドライブに行ける今だからこそ、あえてクルマで行きたい場所がある。今回は神奈川県足柄下郡箱根町にある「ホテルインディゴ箱根強羅」に行ってみた。(Motor Magazine 2022年8月号より)

新たな箱根を感じる、刺激的な個性派ホテル

画像: 大浴場は混浴でジャグジーにヒマラヤ岩塩を壁に配したサウナもある。スパも完備しタイの高級ブランド「HARNN(ハーン)」のトリートメントが体験できる。

大浴場は混浴でジャグジーにヒマラヤ岩塩を壁に配したサウナもある。スパも完備しタイの高級ブランド「HARNN(ハーン)」のトリートメントが体験できる。

旅の醍醐味のひとつに、その地との触れ合いがある。町や人々を感じ、暮らすかのように過ごす体験が持てた時は、旅の記憶が一層深まる。

そんな旅の醍醐味を感じさせる宿が箱根に現れた。「ホテルインディゴ箱根強羅」だ。世界的なホテルグループ「IHG」のブティックホテルブランド「ホテルインディゴ」の日本上陸第1号である。

「ネイバーフッド」(近所、界隈)をコンセプトに置くスタイリッシュなホテルとして海外ではよく知られる存在だが、ここもそのコンセプトをもって、箱根という場所性や文化性を刺激的に感じさせてくれる宿となっている。

まず、場所からして意外である。ホテルが佇むのは強羅エリアでも早川沿いの宮城野と呼ばれるエリアだ。観光地というよりは、地元の人々の暮らしの営みが感じられる地区なのだ。「こんなところに?」というのが正直な感想だが、しかし、箱根大文字焼きを目の前に望み、早川の水の音があたり包む、格別の場所にある。

館内はとてもヒップ(※)でスタイリッシュ。古民家の廃材を配しつつも、箱根組木細工のモダンなオブジェなどで装飾され、懐かしくも新しい空間が広がっている。空間の使い方も大胆だ。建物は早川に沿って長く作られているのだが、バーラウンジからダイニングまで一気通貫した構成で、奥行きが広く、抜け感が素晴らしく良い。しかも天井や壁は、浮世絵や組木細工といった箱根にまつわる伝統美を表現した装飾となっていて、もはや華麗なアート空間である。眺めの良い足湯を備えた中庭もあり、バーラウンジも含めて、カジュアルに自由に過ごせる。寛ぐにもワーケーションするにも快適だ。

※流行の先端を行くさまや、トレンドに精通する人を指す言葉

箱根らしさをユニークな表現で彩る客室

画像: 客室は箱根の伝統美をスタイリッシュに表現した寛ぎの空間となっている。

客室は箱根の伝統美をスタイリッシュに表現した寛ぎの空間となっている。

客室は全98室で6タイプ。大きく早川に面したリバーサイドと緑豊かな山側のヒルサイドに分かれており、全室に天然温泉風呂を備え、リバーサイドは半露天風呂となる。設えもユニーク。家具ひとつとっても凝っている。またアートにも注目だ。地元の老舗「島写真館」とコラボした風景写真作品や浮世絵のアートが飾られており、よく見るとユニークな表現も。それは宿泊してのお楽しみだ。

斬新なのは水着着用の混浴の大浴場があること。しかも、超大型のモニターが備わり、ラウンジスペースまでもある。まるでプールサイドで寛ぐかのように過ごせるのだ。

なお、食事は地元食材にこだわった、薪を使ったグリル料理が名物だ。ディナー時は焚かれた薪がほのかに香り、食欲と非日常感を盛り立てる。

箱根に流れる文脈をスタイリッシュに表現した空間もさることながら、旅の醍醐味、そのネイバーフッド感を感じさせるのはスタッフの対応だろう。ローカルの知人を訪ねたかようなカジュアルな対応がうれしい。彼らは名所や観光スポットだけでなく地元をよく知る。帰り際にランチの場所を尋ねたら、相州牛を使う地元の隠れ家的なハンバーガー店を教えてくれた(これが美味しかった!)。

その地に根ざす宿は多いが、ここはその土地らしさを新たな角度で楽しませてくれる、刺激的な宿である。(文:小倉 修)

ホテルインディゴ箱根強羅

画像: ホテルインディゴ箱根強羅 神奈川県足柄下郡箱根町木賀924-1 東名高速 厚木I.C.→小田原厚木道路 小田原西I.C.→国道1号線→国道138号線 宮城野橋を通過してすぐ ※宿泊予約 営業時間:平日9:00 ~ 18:00 hakonegora.hotelindigo.com

ホテルインディゴ箱根強羅
神奈川県足柄下郡箱根町木賀924-1
東名高速 厚木I.C.→小田原厚木道路 小田原西I.C.→国道1号線→国道138号線 宮城野橋を通過してすぐ
※宿泊予約 営業時間:平日9:00 ~ 18:00

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