バッテリーやパワートレーンは市販車そのまま
「ポール to ポール(Pole to Pole:極点から極点へ」と名付けられたこのプロジェクトは、北極から南極まで約2万7000kmをEV(電気自動車)で走破するという、世界初の試みだ。厳しい現地環境の中で、チームは安全に出発できる場所を選び、1823年時点の北磁極(座標:N70 38' 37.820"、W98 28' 0.541")にあたる地点から出発した。今後、北中南米を経由して、2023年12月に南極点にゴールすることを目指している。
日産では、この過酷な冒険に最新のEV「アリア」を提供している。今回使用する「アリア」は、北極圏の雪や海氷といった遠征先で直面する極限の地形に対応するため、39インチ!という巨大なスノータイヤを装着している。このタイヤにあわせて、サスペンションをチューニングして車高を上げたり、ホイールアーチの拡大などを行っているが、バッテリーやパワートレーン、電動四輪制御技術「e-4ORCE」などは、市販車そのままの仕様で今回の冒険に挑んでいる。
チームは日産のEVが誇る技術や性能を示しながら、気候変動に対して積極的に行動を起こしている興味深い取り組みを紹介していきたいと考えている。
また、今回の冒険では風力発電機とソーラーパネルを備えたポータブル充電ユニットを採用し、ラムゼイ夫妻の休憩時に強風と日照時間の長さをうまく利用しながらEVのバッテリーを充電する。軽量の風力タービンとソーラーパネルを搭載したプロトタイプ トレーラー(タイトル写真参照)を牽引し、強風と長い昼間の時間を最大限に活用してEVのバッテリーを充電するのだ。この発電ユニットは、冒険の最終地点である南極大陸でも使用される予定だ。チームはこの画期的な充電方法が、将来の極地探索におけるEVの活用につながることも期待している。
準備段階で4年。最大かつもっともチャレンジングな冒険が始まる
クリス・ラムゼイ氏は、出発に先立ち次のようにコメントしている。
「4年間の計画と準備を経て、『ポール to ポール』を正式にスタートすることができ、とてもワクワクしています。過去10年間で、ジュリーと何度かEVでの遠征を行ってきましたが、今回の冒険は最大かつ最もチャレンジングなものとなるでしょう。この遠征の実現には、発想の転換やイノベーティブなアイディア、そして志を共にするパートナーとの協力が必要でした。アリアは非常に運転が楽しく、この出発地点にたどり着くまでの約5000kmで、すでに素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。これからの数カ月間、私たちが直面するであろうさまざまな運転シーンに、きちんと対応してくれるものと自信を深めています」
そして、ジュリー・ラムゼイ氏も以下のように付け加えた。
「冒険の途中で立ち寄る地域では、気候変動に取り組んでいる素晴らしい方々とその活動を紹介していきます。ぜひSNSをフォローするなどして、『ポール to ポール』に参加し、この冒険を一緒に盛り上げながら、応援してください」
クリス&ジュリー・ラムゼイ夫妻は、過去10年間にEVの限界をテストしてきており、かつては日産 リーフで過酷なモンゴル ラリーの1万7000kmを完走したこともある冒険家夫妻だ。そんなラムゼイ夫妻の冒険の成功に期待しながら、興味のある人はその足跡を追跡してみては、いかがだろうか。