免許取り立ての人がものの30分でドリフト走行
「日本を飛び出し、遠くフィンランドの北極圏までアイスドライビングを楽しみに行く!」 そんな、飛び切り贅沢なイベントがアウディドライビングエクスペリエンスのひとつとして設定されていると聞き、冬装備をしっかり調えてからヘルシンキ行きの飛行機に飛び乗った。
たどり着いたムオニオの街は日中でも氷点下摂氏15度以下という極寒の地。ただし、実際にプログラムに参加していると、ドライビングしているか、まるでムーミンの物語に出てきそうな、かわいらしくて暖かい小屋のなかで休憩を取るかのどちらかなので、寒い思いはほとんどしなくて済んだ。
最新のアウディRS4アバントをトレーニングカーとするカリキュラムのほうは、初日に簡潔な座学があるだけで、残る2日半はとにかく徹底的に走り込んでいく。そして、参加者の走りを見たトレーナーが、トランシーバーを通じて手短かにで的を射たアドバイスをひとりひとりに伝えていくというスタイルを採る。だから、わかりきった基礎の基礎を繰り返し聞かされることもなく、とても効率的。
一度など、ドリフトを練習する参加者の直後をトレーナーが追走し、その走りを間近から確認したうえで、上達のポイントを伝授するという荒技まで披露して私たちを驚かせた。
免許取り立ての人がものの30分でドリフト走行
「でも、いくら氷上とはいえ、そんなに簡単にドリフトができるようになるの?」
そんな疑問を持たれる読者も、おそらくいるだろう。けれども、今回、日本から参加した5名のうち、1名は免許をとってからほとんど運転をしたことがないと言っていたにもかかわらず、初日に行われた最初のカリキュラムを体験しているうちに、ものの30分と経たないうちにドリフトをコントロールできるようになっていた。
その理由としては、インストラクターのアドバイスが適切なほか、コースが広々として安全なことが挙げられるが、それとともに重要なのが、クワトロ=フルタイム4WDシステムを搭載したRS4のトラクション性能が際立って高く、しかもドライバーの操作をクルマの挙動として適切に変換していくバランスの良さが大きく貢献していたように思う。
アウディドライビングエクスペリエンスは、本国開催だけでなくアウディジャパン主催のものも用意されているので、興味のある方はアウディジャパンのウェブサイトで確認していただきたい。きっと、これまで体験したことのない新しいアウディの世界が、そこで待ち受けているだろう。(文:大谷達也)