2023年6月1日〜4日、WRC(世界ラリー選手権)第6戦ラリー・イタリア サルディニアがサルディニア島北部のオリビアを起点に開催され、ヒョンデのティエリー・ヌーヴィルが今季初優勝。2位にもエサペッカ・ラッピが入り、ヒョンデの1-2フィニッシュとなった。3位にはトヨタのカッレ・ロバンペラが入った。
トヨタに雨の不運連発、首位走行オジエも痛恨ミス
ドライバーズ、コンストラクターズ選手権で首位に立つトヨタが、不安定なサルディニア島の天候に泣いた。
まず犠牲になったのが勝田貴元。土曜日に降り出した雨の中、水かさの増したウォータースプラッシュでフロントを強打。ラジエターを痛めてデイリタイアとなってしまう。
続いてエルフィン・エバンスも同様にウォータースプラッシュの罠に嵌り、一時的にエンジンパワーを失うなどしてタイムロス。上位争いから脱落した。
そして不運は金曜日午前から首位に立っていたオジェにも襲いかかる。
いつもの展開なら差を広げていくはずの金曜日午後、オジェはタイヤ選択とセッティングが路面に合わずに失速。それでもラッピに首位を奪われて迎えた土曜日午前に再逆転に成功しリードを広げるたが、雨の午後にチームメイトと同様にウォータースプラッシュでタイムロスして再び差を詰められてしまう。そして迎えたSS14、スタート後1kmほど走った右コーナーを曲がり切れずにコースアウトしてしまった。
「スタートのタイムコントロールに入る直前に警告ランプが点いてタイヤがスローパンクチャーしているのがわかった。急いでタイヤ交換したんだけどそこが泥だらけの場所で、シューズについた泥を落とさないままステージに臨んだら、ブレーキングの時にペダルから滑ってしまったんだ」と、自らのミスが原因と語ったオジエはここでデイリタイア。
トヨタ勢では、ドライの初日に先頭スタートで大きくタイムロスを喫し、コンディションが悪化した土曜日も選手権争いを考えて安全ペースに徹したカッレ・ロバンペラの3位が最上位となった。
ヌーヴィルが大逆転勝利、ヒョンデがついに今季初優勝
オジェの脱落で、優勝争いは、初日から好調のラッピと、ドライ路面ではタイムが伸びなかったものの、天候悪化とともにペースを上げてきたヌーヴィルの一騎打ちとなった。
このヒョンデ同士の争いは、ヘビーレインのコンディションだった土曜日のSS14と15で、ソフトタイヤのマネージメントが良かったヌーヴィルが、タイヤを使い切ったラッピを逆転し、突き放して決着した。
シーズン6戦目にして、ようやく初勝利を挙げたヌーヴィルは「ものすごくチャレンジングなラリーだった。金曜日のタイムロスが大きくてキツかったけど、土曜日に挽回することができた。今日はセーフティリードだったけど、雨も降っていたからちょっとナーバスになった。ようやくチームも初勝利できてよかった」とフィニッシュ後に笑顔を見せた。
これでヌーヴィルは選手権でも首位ロバンペラと25点差の2番手まで浮上してきた。
デイ1でウォータースプラッシュの衝撃によりクルマにダメージを負いデイリタイアとなった勝田貴元は、デイ4のSS17で2番手タイムを、SS18でベストタイムを記録。パワーステージは3番手タイムで走りきり、ボーナスポイントを獲得した。
次戦第7戦サファリ・ラリー・ケニアは6月21~25日、ケニアの首都ナイロビ近郊のナイバシャを起点に開催される。長い伝統と知名度を誇るサファリ・ラリー・ケニアのグラベル(未舗装路)ステージは、非常にハイスピードな区間、大量の軟らかい砂に覆われた区間、そして岩や石が多く転がる荒れた区間など変化に富み、ひとたび雨が降ると路面はぬかるみ非常に滑りやすい難しいラリーとなる。(文:新村いつき)