フェラーリ51号車も最後のピットストップでトラブルを抱えていた
伝統のル・マン24時間レース100周年大会、フェラーリはフリー走行、予選から好調だった。予選グリッドを決めるハイパーポールでは、50号車がトップタイムをマークすると、51号車が2番手に続き、フロントロウを独占してみせた。
6月10日(土)午後4時にスタートが切られた決勝レースは、コースの一部が雨で濡れているという状況から2度にわたって豪雨に見舞われ、アクシデントが続出し順位がめまぐるしく変わる展開となったが、フェラーリの2台は快調だった。
フェラーリにとって不運だったのは、その後、首位を走る50号車がエネルギー回生システムの冷却装置の一部であるラジエーターを石で破損し大きく遅れたこと。それでも最後まであきらめず、結局5位でフィニッシュしているが。
レース中盤、トヨタの8号車とフェラーリの51号車の一騎討ちとなっていく中、首位のトヨタ8号車がフロントスプリッターにダメージを負うとともにリアタイヤのパンクに見舞われて2位へと後退したことが、優勝争いのひとつのポイントになった。
これでフェラーリ51号車がトップに立ったが、トヨタ8号車は大きく差をつけられることなくコースに復帰、20時間を過ぎた時点でも、2台の差はわずか3秒という僅差だった。
残り2時間、優勝の行方はまだわからない状況だったが、トヨタ8号車の最終ドライバーの平川亮がアルナージュコーナーで痛恨のコースオフ。これでフェラーリの51号車がギャップを3分近くに広げた。これで勝負ありかと思われたが、実は51号車も最終ピットストップでエンジン再始動で手こずり、どうなるかわからない状態になっていた。
電源のオン/オフでなんとかその時は解決したが、「再び時間を失う可能性があった」という。結局その後大きな問題は起こらず優勝を遂げることになるが、トヨタ8号車とマージンがあったのはラッキーだった。
ちなみにフェラーリ51号車とトヨタ8号車の差は最終的にわずか81秒だった。
ジョン・エルカーン フェラーリ会長のコメント
「今日は忘れられない日となりました。50年を経て、私たちは、私たちの物語とすべてのモータースポーツの歴史の中心に位置する耐久レースの最高カテゴリーに参戦するために戻ってきました。 私たちは、世界で最も重要なこの種のレースの100 周年を可能な限り最高のスタイルで祝い、再びル・マンで表彰台の最上段に引き上げたことを本当に誇りに思います」
アレッサンドロ・ピエル・グイディ(51号車ドライバー)のコメント
「私たちが何をしたかを理解するには時間がかかります。 おそらく今、私たちは世界最大のブランドであるフェラーリの歴史の一部になっているのでしょう。 マシンは新しく、レースはクレイジーでした。天候は荒れ狂い、多くのセーフティカーが登場しました。 でも結局のところ、ル・マンはいつもこんな感じです。トラブルに巻き込まれないようにするか、少なくとも間違いを最小限に抑えるように努めなければなりません」
フェラーリは2022年10月に新しいハイブリッドパワートレーンを搭載したル・マン ハイパーカー「フェラーリ499P」を発表して、WECへの参戦を表明。12月に耐久テストを行い、2023年3月のWEC開幕戦のセブリングでデビューするやいきなり予選でポールポジションを獲得、第2戦ポルティマオ、ル・マンの“前哨戦”として行われたスパ・フランコルシャンと3戦連続で表彰台に上り、シリーズ参戦4戦目でル・マン24時間レースで初優勝を飾った。
2023年WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間決勝
1位 51 フェラーリ499P(グイディ/カラド/ジョビナッツィ) 148周
2位 8 トヨタGR010ハイブリッド(ブエミ/ハートレー/平川亮) +81.793s
3位 2 キャデラックVシリーズ(バンバー/リン/ウエストブルック)+1周
4位 3 キャデラックVシリーズ(ブルデー/サンデ/ディクソン)+2周
5位 50 フェラーリ499P(フォコ/モリーナ/ニールセン) +5周
2023年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ) 107
2位 グイディ/カラド/ジョビナッツィ(フェラーリ)82
3位 バンバー/リン/ウエストブルック(キャデラック)70
4位 フォコ/モリーナ/ニールセン(フェラーリ) 67
5位 コンウェイ/小林可夢偉/ロペス(トヨタ)66
2023年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第4戦終了時)
1位 トヨタ 126
2位 フェラーリ 108
3位 キャデラック 70
4位 ポルシェ 54
5位 プジョー 35