先進性の中に、往年のドライバーズカーの趣を持つ内外装
エクステリアは、アストンマーティンの現代的なデザイン言語と、1970年代の象徴的なV8 ヴァンテージのデザインからヒントを得たエレメントとの融合が図られた。クラムシェルボンネットの大きな「U字形」ベントとふたつのNACAダクトは、その下に搭載されるV12ツインターボに十分な冷却エアを供給するためだ。
中央セクションのハイライトは、アルミニウム製のストレーキで、両サイドにはカーボンファイバー製の大型エアインテークが設置され、エンジンとブレーキに冷気を供給する。アイブローを連想させるグリルの下に配置された、クラシックな雰囲気を醸し出す丸型LEDヘッドライトもいい味を出している。
もちろん、最先端のエアロダイナミクス技術の採用も忘れていない。両サイドに組み込まれた大きなフロントスプリッターとフロントフェンダーベントは、リアスクリーンパネルを特徴づけるボーテックスジェネレーターのエキソブレードやカムテール、大型のディフューザーと調和して空力バランスを整える。
リアエンドの特徴はテールライトのグラフィックで、LEDライトブレードのクラスター(両側に各6つ)は、革新的なハイパーカー「ヴァルキリー」を思わせるものがある。さらに、アルミの塊から切削加工され、研磨されたアクセントが車両全幅にわたって装着され、上部セクションと下部セクションを明確に分ける。
そして、リアディフューザーの奥深くには、軽量ステンレススチール製のトリプルテールパイプが配置される。板厚が1mm未満のこの特別なパイプは、従来のシステムと比較して7kgの軽量化を実現しながら、重量感のあるエキゾーストサウンドを奏でるという。
2人乗りのインテリアで目を引くのがマニュアルトランスミッションのシフトレバーだ。ギアノブは、機械加工されたアルミニウムをはじめチタニウム、カーボンファイバー、ウォールナットから選択することができる。そして、メカニカルな機能を強調するためにシフトメカニズムを露出させたそのデザインは、テクノロジーの進化によって失われつつある、ドライバーがクルマと一体となって運転する楽しみを思い起こさせるためだという。
「ヴァラー」の生産は、2023年第3四半期にアストンマーティンのゲイドン本社で開始され、最初の納車は2023年第4四半期に開始される予定だ。