ル・マン復帰のために開発されたハイパーカー「ヴァルキリー」
ハイパーカー「ヴァルキリー」の発表当時からル・マン24時間レースへの復帰を公表していたアストンマーティンが、いよいよWEC世界耐久選手権、ル・マンに帰ってくることになった。
アストンマーティンは、ル・マン24時間レースが初めて開催された1923年からわずか5年後に参戦を開始。ロイ・サルバドーリとキャロル・シェルビーが駆る「DBR1」で総合優勝を遂げた1959年を含め、このレースで19回ものクラス優勝を果たしている。
このル・マン24時間レースへの復帰に向けて開発された「ヴァルキリー」は、標準仕様で最高回転数1万1000rpm、システム最高出力1000bhpを叩き出すコスワース製6.5L自然吸気式V12エンジンを搭載。このパワーユニットはレーシングプロトタイプ「ヴァルキリー AMR プロ」ではハイパーカークラス規定の性能調整要件を組み入れるためさらに強化され、ロードカー仕様のヴァルキリーに搭載されるバッテリー電力ハイブリッドシステムとは異なるレース仕様のものを搭載。トップレベルの長距離レースの過酷さに耐えられるよう開発されている。
ヴァルキリーにはアストンマーティン・コグニザント・フォーミュラ1チームがF1で培ってきたノウハウや技術が盛り込まれているが、これは、耐久レースを通じて得られた経験がのロードカーの開発に生かされ、製品の性能をさらに向上させているのと同様のこと。
また同時に、アストンマーティンはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にも2025年よりWEC世界耐久選手権と同じチーム体制で参戦することも明らかになった。これはヴァルキリーが、ル・マン24時間レース、デイトナ24時間レース、セブリング12時間レースという、世界3大スポーツカーイベントに参加することを意味するが、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のふたつのレースシリーズに同じ体制で参戦することにより、開発スピードを速めるという狙いもありそうだ。