予選で失敗したフェルスタッペンがレース序盤に優勝争いに浮上
金曜日の予選で最速タイムを出しながらトラックリミット違反によってタイム抹消となり、6番グリッドからのスタートとなったフェルスタッペンが厳しい戦いを制した。
前日のスプリントでは圧倒的なレースペースを見せたフェルスタッペンが6番グリッドからどんな追い上げを見せるかに注目が集まった決勝。しかしスタートで5番手まで上がったものの、「ブレーキのフィーリングが昨日とは違った」というフェルスタッペンはそこからなかなかペースを上げられない。
スタートでは2番グリッドのノリスがポールポジションのルクレールをかわして首位を奪い、3番グリッドのハミルトンもハイペースでフェラーリ2台をかわして6周目には2番手に浮上と、まずはノリスとハミルトンがトップ集団を形成。フェルスタッペンがフェラーリ勢をかわして3番手に浮上したのは11周目だった。
そこから首位ノリスのペースが落ち始める中、ほどなく1回目のタイヤ交換機会が到来。真っ先に動いたフェルスタッペンが、1周遅れでタイヤ交換したノリスとのギャップを大きく縮めることに成功した。
一方、ハミルトンはあえてピットストップを遅らせ、20周目にハードタイヤに交換するが、ミディアムを選択してハイペースを続けていたフェルスタッペンにアンダーカットを許してしまった。
ブレーキに問題を抱えながらフェルスタッペンが快勝
ペースを緩めないフェルスタッペンはレース半ばの28周目、ノリスを捕らえてついに首位浮上。そこからレース展開は、フェルスタッペンとタイヤ交換のタイミングをあえて遅らせたハミルトンの優勝争いとなっていく。
フェルスタッペンが35周目、ハミルトンが39周目にそれぞれ2回目のタイヤ交換を終えた時点でのオーダーは、フェルスタッペン→ノリス→1ストップ戦略のルクレール→ハミルトン。
だが上位3台がハードタイヤを履くのに対し、新品ミディアムを履いたハミルトンは抜群にペースが良く、ルクレール、ノリスを次々とかわして49周目には2番手に浮上、フェルスタッペンを追う。なんとか逃げ切りたいフェルスタッペンはブレーキの問題が解消せず、最終ラップにはその差はわずか1.8秒へ。だが、バックマーカーがいたこともあり、ハミルトンはついにDRS圏内に入れないままチェッカーを受けた。
なんとか今季15勝目、自身通算50勝目を達成したフェルスタッペンはレース後「本当にブレーキが厳しくて、タフな戦いだった」と安堵の表情だった。
レース終了後、ハミルトンとルクレールのマシンにフロア下のスキッドブロック形状が規定よりも削れてしまっていることが発覚。両者ともに失格になったため、他のドライバーの順位は繰り上がり、ファステストラップを記録して10位でフニッシュしていたアルファタウリの角田裕毅は、8位入賞とファステストラップポイントで計5ポイントを獲得している。
次戦第20戦メキシコシGPはメキシコシティ近郊のエルマノス・ロドリゲス・サーキットで10月27日(現地時間)に開幕、決勝レースは10月29日に開催される。(文:新村いつき)