現行モデル発表日:2014年10月23日
車両価格:581万4000円〜1455万円
RC Fの熟成された走りは、いわば「大吟醸」
現在のレクサスのラインナップにおいて、V8 5Lの2UR-GSEを搭載したモデルとして、もっとも長い歴史を持つのがRC Fだ。試乗車は、その中でもスポーティネスをさらに際立てた“パフォーマンスパッケージ”となる。
そのメニューは、肉抜きで軽量化した専用の鍛造アルミホイールやカーボンセラミック ブレーキシステムによるバネ下重量の軽減、リアバルクヘッドのカーボンパネルによる補強、フロントスポイラーやウイング、ディフューザーやロッカーフィンなどカーボン製エアロエフェクトによる空力特性の改善、チタンエキゾーストによる軽量化など、多岐に及ぶ。
RC F “パフォーマンスパッケージ”の車両重量は標準グレードより50kg軽く、IS500と同じ1720kg。しかし同時に試乗したIS500ヤLC500と比べても、軽快感においてはこのモデルが一頭地抜けている。それは操作に対する確度の高さや、動きの無駄のなさから感じられるものだろう。
RC F “パフォーマンスパッケージ”は、歴代のレクサスのモデルの中でももっともスパルタンな部類に入るモデルだ。後軸は「F」の特徴ともいえる左右輪作動を増速制御するTVDではなくプレーンなトルセンLSDをあえて採用、アクティブサウンドコントロールなどの演出要素も備わらない。一方で、サーキット走行を念頭に置いたサスチューニングでありながら最低地上高はベースグレードと同等と、大きな羽を背負った派手な成り立ちながらも日常性にはきちんと配慮されてもいる。
RC F “パフォーマンスパッケージ”をクローズドコースで思い切り走らせる愉しさは言わずもがなだ。ハンドリングは危うさなくFRの気持ちいいアクションをきっちり引き出せるし、車体の動きは軽すぎず重すぎず、適度な質感とともにすっきりと向きを変えてくれる。サクサクとした加減速の歯切れの良さもこのグレードならではの味わいのひとつだろう。
嬉しいのはこのドライビングプレジャーを、休日のワインディングロードのようなシチュエーションでも気持ちよく引き出せることだ。バネ下の軽さも奏功しているのだろう、サスペンションは低中入力域から動きがよく、凹凸を超えての収束にも素早い中に丸さがある。世の中には手を付けられないほど速すぎるスポーツモデルも多々ある中、2UR-GSEは絶妙なパワフルさで、回しての心地良さも味わえる範疇だ。特別の用途を求めるひと握りのユーザー向けグレードに見えて、その中身はRC Fの「大吟醸」的な一面も持ち合わせている。
レクサス RC F “パフォーマンス パッケージ” 主要諸元
●エンジン:5L V8DOHC
●総排気量:4968cc
●最高出力:354kW(481ps)/7100rpm
●最大トルク:535Nm(54.6kgm)/4800rpm
●駆動方式:FR
●サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン、後マルチリンク
●タイヤサイズ:前235/35R19
、後275/35R19
●車両価格:1455万円