2023年に60周年を迎えた911の限定車、ポルシェ911 S/T。1380kgの軽量ボディに525psの自然吸気フラット6と6速MTを搭載する、そんな911 S/Tの乗り味はどんなものなのか、イタリアで試乗したモータージャーナリストの西川淳氏に伝えてもらった。(Motor Magazine2023年12月号より)

信じられないほど楽しかった911 S/T

この原稿に取り掛かる直前、私は911カレラTの7速MTを改めて試していた。911の3ペダルMTモデルは“終のクルマ”の有力候補で、どの世代に乗っても楽しい。カレラTももちろん911ベスト・バイ・ナウな一台だ。

画像: カーボンファイバー製パーツを使用しつつエレガントで控えめな911 S/Tのエクステリア。ヘリテージデザインパッケージを選択すれば、ゼッケン番号も選べるPORSCHEデカールセット(写真)も用意される。

カーボンファイバー製パーツを使用しつつエレガントで控えめな911 S/Tのエクステリア。ヘリテージデザインパッケージを選択すれば、ゼッケン番号も選べるPORSCHEデカールセット(写真)も用意される。

そんなことはもちろん乗る前からわかっていたのだけれど、半月ほど前にイタリアで試乗した別のMTモデルが信じられないほど楽しかったので、その度合いをいま一度整理したく、カレラTを引っ張り出したというわけだった。

そのモデルとは911S/T。今年60周年を迎えたポルシェ911の還暦記念限定車で、生まれた年にちなんで1963台のみが生産される。結論から言うと、ワインディングロードで操る楽しさという点でS/TはカレラTの3倍増し。エンジン、ミッション、シャシ。すべてが別格。価格も2倍強だけれど、その価値は十分あると確信した。

“ST”と聞いてナロー時代の幻のモデルを思い出した方は相当な911通であろう。1971年から1973年にかけて、そう、かのナナサンカレラRSが登場する前の時代にレース用ベースマシンとして生産された911がSTだった。

ナナサンカレラのようなエアロデバイスは持たず、せいぜいワイドフェンダーくらいだったが、エンジンや足まわりの強化に加えて軽量化も施されていた。そのコンセプトを現代の911に当てはめ、レースではなく峠道でもっとも楽しいモデルを作ろうというあたりがS/Tの企画コンセプトだった。

画像: 911S/Tヘリテージパッケージのインテリア。ハンドルのトップにはセンターのマーキングが施された「GTスポーツステアリングホイール」も装着される。

911S/Tヘリテージパッケージのインテリア。ハンドルのトップにはセンターのマーキングが施された「GTスポーツステアリングホイール」も装着される。

それにしてもなんと贅沢な仕様であることか! 泣く子も黙るGT3RS用の自然吸気フラット6をリアに押し込み、スタイリングはツーリング仕様。けれども前フェンダーやボンネット、ドアなど至る所がカーボンファイバー製。スペックを読んでいるだけでワクワクする。

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